手足口病が流行中!―症状・受診の目安・登園の考え方を小児科専門医が解説

手足口病が流行中!―症状・受診の目安・登園の考え方を小児科専門医が解説

はじめに

最近、小児科外来でも

手足口病のお子さんが急激に増えてきています。

手や足にブツブツが出て、

「これって手足口病?」

「保育園は休まなきゃダメ?」

「ご飯が全然食べられない…」

と心配になる親御さんも多いのではないでしょうか。

手足口病は多くの場合自然に治る病気ですが、

口の痛みで水分が取れなくなったり、

まれに重症化したりすることもあります。

今回は、

手足口病の症状や経過、

受診の目安、

登園の考え方について、

小児科専門医の立場から分かりやすく解説します。


手足口病とは?

手足口病は、

エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによって起こる感染症です。

主に乳幼児に多く、

毎年夏を中心に流行します。

名前の通り、

  • 口の中

に発疹や水ぶくれができるのが特徴です。

感染経路は

  • 咳やくしゃみ
  • 唾液
  • 鼻水
  • 便

などです。

兄弟姉妹や保育園・幼稚園で広がることも少なくありません。

感染してから症状が出るまで(潜伏期間)は、

通常3〜5日程度です。

保育園や幼稚園で流行している時に兄弟が発症した場合、

数日遅れて発症することも珍しくありません。

👉 兄弟で時間差で発症することもよくあります。



手足口病は“手・足・口”だけじゃない

手足口病という名前から、

「手・足・口だけに発疹が出る病気」

と思われがちです。

しかし実際には、

  • おしり
  • 肛門のまわり
  • ひざ
  • すね

などにも発疹が出ることがあります。

特に、

肛門周囲に赤い発疹やブツブツがある場合は、手足口病を強く疑うことがあります。

おむつ替えの時に初めて気付く親御さんも少なくありません。

👉 手足口病は「手・足・口」以外にも発疹が出ることがあります。



よくある症状

手足口病では、

次のような症状がみられます。

発熱

発熱しないこともありますが、

38〜39℃程度の熱が出るお子さんもいます。

熱は通常1〜3日程度で下がることが多いです。


発疹

手のひら

足の裏

足の甲

などに赤い発疹や水ぶくれができます。

かゆみは強くないことが多いです。


口内炎

実は親御さんが最も困るのがこれです。

歯ぐき

頬の内側

のど

などに口内炎ができ、

食事や水分を嫌がるようになります。

👉 発疹よりも口の痛みが一番つらいことが多いです。


手足口病に特効薬はある?

親御さんからよく聞かれる質問です。

結論から言うと、

手足口病を治す特効薬はありません。

治療の基本は、

  • 水分補給
  • 痛みへの対応
  • 自然に治るのを待つ

という対症療法になります。

ほとんどのお子さんは1週間程度で改善します。

👉 特効薬はありませんが、多くは自然に回復します。


ご飯が食べられない時はどうする?

手足口病で一番注意したいのは、

脱水です。

口内炎ができると、

食べたり飲んだりするたびに痛みます。

そのため、

いつも通り食べられなくても心配しすぎる必要はありません。

まず優先したいのは

「食事より水分」

です。

実際、

口の痛みが強く、

ミルクや水分が飲めなくなって入院するお子さんもいます。

おすすめは

  • 麦茶
  • イオン飲料
  • 牛乳
  • 冷たいスープ

などです。

また、

病気の時だけは特別です。

  • ゼリー
  • プリン
  • ヨーグルト
  • アイス

など、

食べられるものを優先して構いません。

場合によっては、

**普段なら控えたいお菓子でも「食べられるならOK」**です。

数日間の栄養不足より、

脱水の方がはるかに問題です。

逆に、

  • オレンジジュース
  • グレープフルーツジュース
  • 炭酸飲料
  • カレー
  • 塩辛いもの

などは痛みを強くすることがあります。

👉 「何を食べるか」より、「何か飲めているか」を重視しましょう。



こんな時は受診を

手足口病そのものに特効薬はありません。

しかし、

次のような場合は受診をおすすめします。

  • 水分がほとんど飲めない
  • ミルクが飲めない
  • おしっこが半日以上出ない
  • ぐったりしている
  • 呼びかけへの反応が悪い
  • 強い頭痛がある
  • 嘔吐を繰り返す

38〜39℃程度の発熱だけであれば、

自宅で様子を見られることも少なくありません。

一方で、

熱の高さよりも、水分が取れているかどうかが重要です。

👉 「脱水になっていないか」が最も重要なポイントです。


まれですが重症化することも

ほとんどのお子さんは自然に回復します。

しかし、

ごくまれに

  • 髄膜炎
  • 脳炎
  • 心筋炎

などの合併症が起こることがあります。

頻度は高くありませんが、

  • 強い頭痛
  • 繰り返す嘔吐
  • ぐったりしている
  • 意識がおかしい

場合は早めに受診しましょう。

👉 「いつもと様子が違う」は大切なサインです。



赤ちゃんへの感染には注意

手足口病は、

兄弟姉妹の間で感染することがよくあります。

特に注意したいのが、

新生児や生後まもない赤ちゃんがいるご家庭です。

多くは軽症で済みますが、

新生児では発疹が目立たず、

発熱だけで発症することもあります。

兄や姉が手足口病になった場合は、

  • 手洗い
  • おむつ交換後の手指衛生
  • タオルの共用を避ける

などを意識しましょう。

生後28日未満の赤ちゃんが発熱した場合は、

手足口病が疑われる状況であっても、

「手足口病だから様子見」とはできません。

新生児期の発熱は重い細菌感染症との区別が必要なため、

早めに医療機関を受診しましょう。

👉 新生児は発疹が目立たず、発熱だけで発症することがあります。


保育園・幼稚園はいつから行ける?

親御さんが最も気になるポイントの一つです。

実は、

手足口病には

インフルエンザのような明確な出席停止期間はありません。

学校保健安全法でも、

「症状が落ち着いて普段通り生活できること」

が登園・登校の目安とされています。

つまり、

  • 熱が下がっている
  • 水分が取れる
  • 食事がある程度取れる
  • 元気がある

のであれば、

発疹が残っていても登園できることが多いです。

なお、

症状が良くなった後もしばらく便の中にはウイルスが排出されます。

そのため、

「完全に感染力がなくなるまで休む」

という考え方ではなく、

本人が普段通り生活できるかどうか

が登園の目安になります。

ただし、

園によってルールが異なる場合もあるため、

事前に確認しておきましょう。

👉 発疹が消えるまで待つ必要はありません。


手足口病は何回もかかることがある

「一度かかったからもう安心ですか?」

と聞かれることがあります。

実は、

手足口病は何度もかかることがあります。

手足口病を起こすウイルスは1種類ではありません。

そのため、

一度手足口病にかかったことがあっても、

別の種類のウイルスに感染すると再び発症することがあります。

実際に外来でも、

「去年もやったのにまた手足口病でした」

というケースは珍しくありません。

👉 「前にもやったから違う病気」とは限りません。


爪が剥がれるって本当?

実は本当です。

手足口病から

1〜2か月後

に、

手や足の爪が根元から浮いてきたり、

剥がれたりすることがあります。

これは

「爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)」

と呼ばれます。

爪が剥がれる頃には、

手足口病そのものはすでに治っています。

そのため、

爪が剥がれたからといって再受診や登園停止が必要になることは通常ありません。

見た目は驚きますが、

ほとんどの場合は自然に新しい爪が生えてきます。

👉 数週間〜数か月後に爪が剥がれても、慌てなくて大丈夫です。



まとめ

✅ 手足口病は夏に流行するウイルス感染症

✅ 潜伏期間は3〜5日程度

✅ 手・足・口以外に、おしりや肛門周囲にも発疹が出ることがある

✅ 特効薬はなく、治療の基本は対症療法

✅ 一番困る症状は口内炎による痛み

✅ 食事よりも水分摂取が大切

✅ ミルクや水分が飲めない場合は受診を

✅ 新生児がいる家庭では兄弟感染に注意

✅ 発疹が残っていても登園できることが多い

✅ 手足口病は何回もかかることがある

✅ 1〜2か月後に爪が剥がれることがある


👉 手足口病は発疹が目立つ病気ですが、本当に注意したいのは口内炎による脱水です。

発疹の数よりも、飲めているか、おしっこが出ているかが大切です。

心配な時は遠慮なく小児科へ相談してください。