目次
はじめに
暑い日が続くと、
「最近、食欲が落ちている」
「朝なかなか起きられない」
「いつもより元気がない」
といった変化がみられることがあります。
こうした体調不良は「夏バテ」と呼ばれますが、夏バテは特定の病気の名前ではありません。暑さによる疲れや睡眠不足、水分不足などが重なって起こる、さまざまな不調の総称です。
一方で、夏バテだと思っていた症状の背景に、熱中症や脱水、夏に流行する感染症などが隠れていることもあります。
この記事では、子どもの夏バテでみられる症状、家庭でできる対処法、食欲がないときの食事、医療機関を受診する目安について解説します。
子どもの「夏バテ」とは?
夏バテとは、暑さが続くことで現れる、だるさや食欲低下などの体調不良をまとめた呼び方です。医学的に決められた診断名ではありません。
子どもの夏バテには、主に次のようなことが関係しています。
- 暑さで体力を消耗する
- 汗をかいて水分を失う
- 寝苦しくて睡眠が不足する
- 夏休みなどで生活リズムが崩れる
- 食欲が落ちて食事量が減る
- 暑い場所で長時間過ごす
子どもは遊びに夢中になると、水分補給や休憩を忘れてしまうことがあります。また、小さい子どもは、自分の体調をうまく言葉で説明できません。
そのため、本人の訴えだけでなく、普段と比べた表情、遊び方、食事量、睡眠、尿の回数を見ることが大切です。
👉 夏バテは病名ではなく、暑さや生活リズムの乱れによって起こるさまざまな不調の総称です。
子どもの夏バテでみられる症状
子どもの夏バテでは、次のような変化がみられます。
- いつもより元気がない
- 疲れやすく、横になりたがる
- 食欲が落ちている
- 朝なかなか起きられない
- 寝つきが悪い、夜中に目を覚ます
- 頭痛や腹痛を訴える
- 便がゆるい、または便秘になる
- 遊びや外出を嫌がる
- いつもより不機嫌になる
小さな子どもでは、「だるい」「気持ち悪い」と言葉で説明できないこともあります。
いつも遊んでいるおもちゃに興味を示さない、抱っこを求めることが増えた、食べる量が明らかに減ったなど、なんとなく普段と違う様子がサインになることもあります。

👉 「元気・食事・睡眠・尿」が普段と違わないかを確認しましょう。
「ただの夏バテ」と思い込まないで
子どもが夏にぐったりしていても、すべてが夏バテとは限りません。
特に、暑い場所で過ごしたあとに、頭痛、吐き気、めまい、ぐったりするなどの症状が急に現れた場合は、熱中症を疑う必要があります。
子どもは体温調節の機能が未熟で、大人よりも体温が上がりやすいため、周囲の大人による見守りが必要です。
また、発熱、咳、鼻水、喉の痛み、発疹、繰り返す嘔吐や下痢がある場合は、夏風邪や胃腸炎などの感染症も考えられます。
発熱が続く場合や、夏バテだけでは説明しにくい症状がある場合は、「暑さのせい」と決めつけないことが大切です。
👉 急にぐったりした場合や、発熱など別の症状を伴う場合は、夏バテ以外の病気を考えましょう。
家庭でできる夏バテの対処法
子どもの意識がはっきりしていて水分を飲めている場合は、次の4点を意識して家庭で様子をみましょう。
涼しい部屋で休ませる
エアコンを適切に使用し、汗をかき続けない環境にします。
エアコンの設定温度だけではなく、実際の室温と子どもの様子を確認しましょう。風が直接当たり続けないよう、風向きも調整します。
こまめに水分を与える
一度に大量に飲ませるのではなく、少量ずつこまめに与えます。
普段の水分補給は、水や麦茶などで構いません。乳児では、母乳やミルクを普段どおり続けてください。
たくさん汗をかいたときや長時間運動したときは、塩分を含む飲み物が役立つこともありますが、普段の生活でスポーツドリンクを常用する必要はありません。
生活リズムを整える
夏休みでも、起きる時間と寝る時間を大きくずらさないようにします。
朝はカーテンを開けて光を浴び、日中は無理のない範囲で体を動かしましょう。ただし、暑さ指数が高い時間帯の外遊びや運動は避けてください。
元気になるまで無理をさせない
夏バテは、1回の食事や1晩の睡眠だけですぐに回復するとは限りません。
数日は予定を詰め込みすぎず、昼寝や休憩を取り入れながら過ごしましょう。暑さ指数が高い日は、外遊びや運動を中止・延期することも大切です。

👉 まずは涼しい環境で休ませ、水分と睡眠を確保しましょう。
食欲がないときは何を食べさせる?
夏バテのときに、無理やり一人前を食べさせる必要はありません。
一度にたくさん食べられない場合は、少量を何回かに分けて与えると食べやすくなります。
食事では、次の3つを意識してみましょう。
- ごはん、うどん、パンなどの主食
- 卵、豆腐、魚、肉などのたんぱく質
- スープ、みそ汁、果物など水分もとれるもの
例えば、そうめんだけではなく卵や豆腐を加える、おにぎりと一緒に具の入ったスープを出すなど、少し組み合わせるだけでも十分です。
脂っこい料理や量の多い料理よりも、まずは普段から食べ慣れているものを少量ずつ出してみましょう。
冷たい飲み物や食べ物を、必ず避ける必要はありません。子どもが飲みやすい温度で構いません。ただし、ジュースやアイスだけでお腹がいっぱいになると食事量が減るため、とりすぎには注意しましょう。
また、経口補水液は夏の健康飲料ではありません。嘔吐や下痢、発熱、大量の発汗などで脱水が疑われるときに、水分と電解質を補うための飲み物です。夏バテ予防としては、ジュース等の飲み物で十分な場合がほとんどです。
👉 特別な“夏バテ解消食品”より、食べ慣れたものを少量ずつ組み合わせることが大切です。
医療機関を受診する目安
「夏バテかな」と思っても、次のような場合は医療機関へ相談してください。
- 水分をあまり飲めない
- 食事や水分をとると吐いてしまう
- 嘔吐や下痢を繰り返している
- 尿の回数や量が普段より明らかに少ない、または半日近く尿が出ていない
- 口の中が乾いている
- 泣いても涙が出ない
- 発熱が続いている
- 咳、喉の痛み、発疹など別の症状を伴う
- 日中も寝てばかりで、遊ぼうとしない
- 数日休んでも元気や食欲が戻らない
- 体重が減ってきている
特に、水分がとれない、尿が明らかに減っている、顔色が悪い、ぐったりしている場合は、脱水が進んでいる可能性があります。
また、生後3か月未満の赤ちゃんに38℃以上の発熱がある場合は、夏バテとは考えず、速やかに医療機関を受診してください。
次のような場合は、熱中症など緊急性の高い状態が考えられるため、すぐに救急要請してください。
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 意識がはっきりしない
- けいれんした
- 飲ませようとしても水分を飲めない
- 呼吸が苦しそう
- 暑い場所にいたあと、体が非常に熱く、ぐったりしている

👉 水分がとれない、尿が減っている、意識がおかしい場合は、夏バテとして様子を見続けないでください。
まとめ
- 夏バテは病名ではなく、暑さによるさまざまな不調の総称
- 元気、食事、睡眠、尿が普段と違わないか確認する
- 急にぐったりした場合は、熱中症を疑う
- 発熱や咳、嘔吐、下痢などがある場合は感染症の可能性もある
- 涼しい環境で休ませ、少量ずつこまめに水分を与える
- 食欲がないときは、食べ慣れたものを少量ずつ組み合わせる
- スポーツドリンクや経口補水液を日常的に飲ませる必要はない
- 水分がとれない、尿が少ない、数日たっても回復しない場合は受診する
- 生後3か月未満で38℃以上の発熱がある場合は速やかに受診する
- 意識がおかしい、けいれん、飲ませても飲めない場合は救急要請する
👉 「夏バテだろう」と決めつけず、普段との違いをよく見ながら、水分・休息・食事で子どもの回復を支えましょう。

