はじめに
お子さんの「咳が長く続く」「ゼーゼー・ヒューヒューして苦しそう」――
そんな姿を見ると、親としては胸が締めつけられますよね。
「喘息って、一度なったら一生治らないんでしょうか?」
そんな声をよく耳にします。
でも安心してください。
小児喘息は、正しい治療をしっかり続ければ“治る可能性が十分にある病気”です。
大人の喘息とは少し性質が違い、成長とともに改善していくケースも多いんです。
👉 “治らない病気”ではなく、“治せるチャンスがある病気”。
小児喘息ってどんな病気?
小児喘息は、気道(空気の通り道)に炎症が起こることで、
気道がむくみ(浮腫)やすくなり、空気の通りが悪くなってしまう病気です。
この「気道の炎症」が喘息の根っこ。
たとえるなら、皮膚に擦り傷がある状態に少し似ています。
擦り傷があると、服が当たったり砂が触れただけでもヒリヒリしますよね。
気道でも同じように、炎症があると“内側がデリケートな状態”になります。
ただし、「痛い!」と感じるわけではなく、
その刺激に対して咳が止まらなくなったり、気道がむくんで狭くなり息がしにくくなる――
これが、喘息発作のメカニズムです。
👉 気道が“過敏になっている”と、ほんのわずかな刺激で発作が起こります。
中には、炊き立てご飯の湯気や、寒い朝の空気などでも咳き込むお子さんもいます。
炎症を放っておくと…
炎症が長く続くと、気道の壁が少しずつ厚く固くなり、
元の状態に戻りにくくなることがあります。
これを「リモデリング(気道構造の変化)」と呼びます。
リモデリングが進むと、気道が常に狭くなり、
治療をしても症状が長引く「治りにくい喘息」になってしまうことも。
👉 “軽いから大丈夫”ではなく、“軽いうちに炎症を治す”ことが大事。
治療の目的は「炎症をおさえて、リモデリングを防ぐ」
発作を止めるだけでなく、
気道の炎症そのものを鎮めることが、治療のいちばんの目的です。
吸入ステロイド薬などの“コントローラー”を続けることで、
炎症を抑え、気道を健康な状態に戻します。
この「炎症を残さない」ことこそが、
リモデリングを防ぎ、将来的に“治る方向”へ導く鍵になります。
成長とともに“治る”ことも
小児喘息の7〜8割は、思春期までに症状が軽くなったり、消えていくといわれています。
それは、成長によって気道が太くなり、アレルギー反応も落ち着くからです。
ただし、早い段階でしっかり治療しておくことが前提。
炎症を放置してしまうと、リモデリングが進み、
「大人になっても続く喘息」へとつながってしまう可能性があります。
👉 早めに、正しく、続けて治す。これが一番の近道です。
親御さんへのメッセージ
小児喘息は、正しい治療と環境づくりで、
コントロールできる・治る可能性のある病気です。
でも、治療を途中でやめてしまったり、
吸入や内服を「元気そうだからいいか」とおろそかにすると、
気道の炎症が残ってしまうことがあります。
焦らず、あきらめず、コツコツと――。
お子さんの1回1回の吸入、1日1日の治療が、
将来の「喘息を感じない生活」につながっていきます。
まとめ
- 小児喘息は、正しい治療で治ることも多い病気
- 炎症を放置すると「リモデリング」が進み、治りにくくなる
- 炎症がある気道は敏感で、咳やむくみで苦しくなる
- 吸入・環境整備・継続的な通院で、治る方向へ導ける
👉 “今のケア”が、“未来の健康”をつくります。

