食物アレルギー児の栄養管理と成長評価― 小児科専門医が教える実践ポイント

食物アレルギー児の栄養管理と成長評価― 小児科専門医が教える実践ポイント

はじめに

「アレルギーがあるから、成長が心配」

これは、小児科外来でとてもよく聞く言葉です。
卵や牛乳、小麦などを除去していると、
この食事で本当に足りているのか、
身長や体重はちゃんと伸びていくのか、
不安になるのは親としてとても自然なことだと思います。

でも実際に成長曲線を一緒に見てみると、
ほとんどのお子さんは順調に育っています。

大切なのは、
・どの栄養に注意すればよいのか
・成長をどう評価すればよいのか

この記事では、
食物アレルギーのあるお子さんを育てる親御さんに向けて、
栄養管理と成長評価の「考え方の軸」を実践的にお伝えします。

👉 不安は「知ること」で、少しずつ小さくできます。


食物アレルギーがあっても、栄養はとれる

食物アレルギーがあると、
「食べられないものが多い=栄養が足りないのでは」
と感じてしまいがちです。

ですが実際には、
何を食べられないかよりも、
「何で代わりに補うか」が大切です。

正しい知識があれば、
除去食でも必要な栄養はしっかり確保できます。

👉 「除去=栄養不足」ではありません。


卵アレルギーの場合に気をつけたいこと

卵は良質なたんぱく質源ですが、
卵を食べなくても、
肉や魚をしっかり食べられていれば
たんぱく質が不足することはほとんどありません。

「卵を食べないと体が大きくならないのでは」
と心配される親御さんも多いですが、
実際の診療では、そのようなケースはまれです。

👉 卵がなくても、成長に必要なたんぱく質は補えます。


牛乳アレルギーの場合に気をつけたいこと

牛乳はカルシウムのイメージが強いですが、
ビタミンB₂やたんぱく質も重要な栄養素です。

牛乳が飲めない場合でも、
小魚、青菜、アレルギー用ミルクなどを組み合わせれば、
栄養不足を防ぐことは十分可能です。

👉 牛乳が飲めなくても、骨の成長は守れます。


小麦アレルギーの場合に気をつけたいこと

主食として小麦を除去する必要があると、
「エネルギーが足りなくなるのでは」と不安になります。

ですが、
米を中心とした食事に切り替えれば、
エネルギー不足になることは多くありません。

👉 主食は「米」でしっかり補えます。


栄養管理でいちばん大切なのは「数字」ではない

栄養の話になると、
カロリーや栄養素の計算に意識が向きがちです。

でも、親御さんが本当に知りたいのは、
「この子はちゃんと育っているのか」という点ではないでしょうか。

栄養管理の前に、
成長を正しく評価することがとても大切です。

👉 栄養の不安は、まず成長を確認することから始まります。


成長を見るときの基本は「点」ではなく「線」

成長を評価するとき、
その日の身長や体重だけで判断する必要はありません。

体重が少しずつ増えているか、
急に止まったり増えすぎていないか、
その子なりのペースが保たれているかを見ることが大切です。

母子手帳の成長曲線は、
平均との差を見るためのものではありません。

👉 成長は「今」より「これまでの流れ」を見ます。


発達もあわせて見ていくことが大切

体の大きさだけでなく、
首すわり、寝返り、おすわり、はいはいなど、
発達の様子も成長を判断する大切な手がかりです。

成長と発達の両方が順調であれば、
食事内容を過度に心配しすぎる必要はありません。

👉 体と心、両方の育ちを一緒に見ていきましょう。


「問題がない」と伝えることも大切なサポート

成長や発達に問題がある場合は、
もちろん医療的なサポートが必要です。

一方で、
問題がない場合に
「今は順調ですよ」と伝えることも、
親御さんにとって大きな支えになります。

👉 「大丈夫」という言葉は、立派な医療サポートです。


まとめ

  • 食物アレルギーがあっても、栄養はとれる
  • 大切なのは「除去」ではなく「代替」
  • 栄養より先に、成長を正しく評価する
  • 成長は「平均との差」ではなく「流れ」で見る
  • 順調なら、焦らずゆっくりで大丈夫

👉 不安なときは、ひとりで抱え込まず、医療者と一緒に確認しましょう。