インフルエンザワクチンのシーズンになると、親御さんからよく聞かれる質問があります。
「どうして子どもは2回打たないといけないの?」
今回は、この理由をわかりやすく整理して解説します。
① 日本では「13歳未満は2回」が基本
現在の日本の推奨スケジュールは以下の通りです。
- 生後6か月〜13歳未満:2回接種
- 13歳以上:1回接種
これは、不活化インフルエンザワクチン(注射型)では、子どもが1回の接種だけでは十分な免疫を獲得できないためです。
👉 「日本では、子どもの免疫をしっかりつけるために2回接種が基本になっています。」
② 1回目は“準備”、2回目で“完成”
インフルエンザワクチンは、1回目で体にウイルスを覚えさせ、2回目でしっかり免疫を完成させる仕組みです。
特にワクチンを初めて受ける子どもでは、2回接種の方が明らかに効果が高いことが研究でも示されています。
- アメリカの研究:6か月〜2歳で 2回接種の有効性は、1回接種と比べて約2倍
- 日本の研究:0〜4歳で 2回接種の有効性は、1回接種と比べて1.5倍
つまり、1回目は練習、2回目が本番のようなイメージです。
👉 「2回で1セット。両方打つことで守りが整います。」
③ 接種歴による違い
「去年も打ったけど、今年は1回でいいの?」という疑問もよくあります。
研究報告では、前シーズンに2回接種した子は、翌年に再度接種することで抗体の上がり方がよかった とされています。
ただし、それでも1回の接種のみではしっかりと免疫が完成しない子も多く、より確実に免疫をつけるためにはやはり2回接種が望ましいと考えられています。
👉 「去年しっかり2回接種していれば、翌年は1回でも効果が出やすいというデータがあります。」
④ フルミスト®(経鼻ワクチン)は1回でよい
2024年から日本で使えるようになった経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト®」は、生ワクチンのため 対象年齢(2〜19歳)であれば1回接種で完了します。
自然感染に近い免疫をつける仕組みのため、追加の接種は不要とされています。
👉 「過去に経鼻インフルエンザワクチンについてまとめているのでこちらも参考にしてください」
まとめ
- 注射でのインフルエンザワクチンは、13歳未満は原則2回接種。
- 1回目は準備、2回目で免疫完成。
- 前シーズンに2回接種していれば、翌年は1回でも効果が出やすいという報告あり。
- 経鼻ワクチン「フルミスト®」は 1回で完結。
子どもの接種回数は、年齢・接種歴・ワクチンの種類によって変わります。
迷ったときはかかりつけ小児科医に相談し、安心できる方法を選んでください。

