ナッツアレルギーの基礎知識― 間違えやすい大切なポイントを小児科専門医が解説

ナッツアレルギーの基礎知識― 間違えやすい大切なポイントを小児科専門医が解説

はじめに

これまでこのブログでは、
牛乳・卵・小麦・ピーナッツなど、さまざまな食物アレルギーについて、親御さん目線でお伝えしてきました。

その中でもナッツアレルギーは、
「どこまで除去すればいいのか分かりにくい」
と感じやすいアレルギーです。

症状が強く出やすい一方で、
名前が似ている食品が多く、誤解も起こりやすい。
だからこそ、正しい整理がとても大切になります。

👉 不安なまま制限を続ける必要はありません。


ナッツ類ってそもそも何?

「ナッツ」と聞くと、
ひとつのグループの食品のように感じますが、
実は植物学的な分類ではありません

食品としては「種実類」に分類され、
一般に「ナッツ類」と呼ばれているものを
植物の仲間ごとに整理すると、以下のようになります。

ナッツ類の植物学的分類

科(植物の仲間)ナッツの種類
バラ科アーモンド
ウルシ科カシューナッツ、ピスタチオ
ヤマモガシ科マカダミアナッツ
クルミ科クルミ、ペカンナッツ
カバノキ科(ハシバミ属)ヘーゼルナッツ
サガリバナ科ブラジルナッツ

このように、
見た目や呼び名が似ていても、植物としては全く別の仲間です。

一方で、

  • ピーナッツ:マメ科(豆類)
  • ゴマ・ヒマワリの種:種子
  • 栗・銀杏:炭水化物が多い別のグループ

と、「ナッツっぽい」食品でも分類は大きく異なります。

👉 名前が似ていても、体の反応は同じとは限りません。


ピーナッツアレルギーとナッツアレルギーは別のもの

外来でとても多いのが、
「ピーナッツがダメだから、ナッツも全部避けています」という声です。

ですが医学的には、
ピーナッツアレルギーとナッツアレルギーは別のアレルギーです。

  • ピーナッツ:マメ科
  • ナッツ類:クルミ・カシューナッツなどの木の実

そのため、

  • ピーナッツにアレルギーがあっても、ナッツは食べられる場合がある
  • ナッツアレルギーがあっても、ピーナッツは必ずしも同じではない

というケースも少なくありません。

👉 「一つダメ=全部ダメ」とは限りません。


ナッツアレルギーで一番大切なのは「どのナッツか」

ナッツ類は、

  • お菓子
  • パン
  • 調味料
  • 飲料

など、多くの加工食品に使われています。

そのため「ナッツ全部除去」としてしまうと、
食べられるものが一気に減ってしまうことがあります。

ナッツアレルギーでまず大切なのは、
どのナッツに対するアレルギーなのかを一つずつ確認すること

症状が出たときの食事内容の確認が基本ですが、
分からないことも少なくありません。

血液検査(特異的IgE抗体)は参考になりますが、
検査結果だけで診断が確定するわけではない点も重要です。

👉 検査は「参考」、診断は「総合判断」です。


ナッツアレルギーは症状が強く出やすい

ナッツアレルギーは、
全身症状(アナフィラキシー)になりやすいことが知られています。

特に注意が必要なのが、

  • クルミ(発症頻度が高く、症状も強い)
  • カシューナッツ
  • マカダミアナッツ

です。

少量でも症状が出たり、
これまで安全だった量が急に通用しなくなることもあり、
慎重な対応が求められます

👉 ナッツアレルギーは軽く考えないことが大切です。


診断をはっきりさせる「食物経口負荷試験」

診断がはっきりしない場合に行われるのが、
食物経口負荷試験です。

これは、

  • 医療機関で
  • ごく少量から
  • 医師の管理下で

症状が出るかどうかを確認する検査です。

ナッツ類はリスクが高いため、

  • 増量しない
  • 状況によっては途中で中止

といった、より慎重な方法がとられます。

👉 自宅での自己判断チャレンジは絶対に避けましょう。


複数のナッツにアレルギーがある場合も

ナッツアレルギーでは、

  • 複数のナッツに反応する
  • でもすべてではない

というケースも多くみられます。

そのため、

  • 診断がついたナッツは確実に除去
  • それ以外は、専門医と相談しながら評価

という姿勢が大切です。

診断がつくまでは一時的に広めに除去することもありますが、
そのまま放置しないことが重要です。

👉 正しい診断は、不要な制限を減らします。


まとめ:ナッツアレルギーで親が知っておきたいこと

  • ナッツアレルギーは一括りにしない
  • ピーナッツとは別のアレルギー
  • 「どのナッツか」を整理する
  • 自己判断で食べさせない
  • 専門医と一緒に安全な範囲を考える

この考え方が、
子どもの安全と、将来の食の幅を守ることにつながります

👉 正しく知ることが、いちばんの安心です。