インフルエンザに効く漢方「麻黄湯(まおうとう)」とは?― 小児科専門医がわかりやすく解説

インフルエンザに効く漢方「麻黄湯(まおうとう)」とは?― 小児科専門医がわかりやすく解説

冬になると流行しやすいインフルエンザ。
突然の高熱でぐったりしているわが子を見ると、

「少しでも早く楽にしてあげたい…」
「解熱剤だけで乗り切れるのかな…?」

と、不安な気持ちが一気に押し寄せますよね。

そんなとき、大人に時折処方されることがある、日本の伝統的な漢方薬 「麻黄湯(まおうとう)」
実はこの麻黄湯、子どものインフルエンザで本当に効果があるのか? を丁寧に調べた研究が存在します。

この記事では、小児科専門医として、麻黄湯の効果・使える子と使えない子・注意点まで、親御さん向けに分かりやすく解説します。


🧡 麻黄湯(まおうとう)ってどんな漢方?

麻黄湯は次の4つの生薬から作られる漢方です。

  • 麻黄(まおう)
  • 桂皮(けいひ)※シナモンの成分
  • 杏仁(きょうにん)
  • 甘草(かんぞう)

これらが組み合わさることで、

  • 発熱を下げる
  • 汗をかきやすくし、体のこわばりを取る
  • 鼻づまりや寒気を和らげる

といった作用が期待されます。

特に、
「寒気が強く、ガタガタ震えながら急に熱が上がってきた」
というインフルエンザの“典型的な初期症状”にピッタリ合うことが多いです。

👉急な寒気と高熱がセットになった“いかにもインフル”という症状にマッチしやすい漢方です。


🧪 麻黄湯は“本当に効くの?” → 2007年の子ども対象研究で確認されています

麻黄湯は昔から使われてきた漢方ですが、
2007年に日本の研究チーム(Kuboら)が「A型インフルエンザの小児」を対象に行った研究で効果が確かめられています。

しかも、医学的に信頼度の高い
ランダム化比較試験(RCT)
という方法です。

研究のポイントは次のとおりです。

  • 子どもを「麻黄湯グループ」と「使わないグループ」にランダムに分けた
  • 発熱・寒気・だるさなどの症状の治り方を丁寧に比較
  • 麻黄湯を飲んだ子の方が、熱が早く下がった
  • だるさや鼻水などの症状も早めに改善
  • 大きな副作用は見られなかった

つまり、
“伝統の漢方だから” ではなく “科学的に調べても効果があった” 漢方なのです。

👉2007年の“子どもを対象にした質の高い研究”で、麻黄湯はインフルの熱を早く下げることが示されています。


🔍 研究結果①:熱が下がるスピードが速い

麻黄湯を飲んだ子どもは、

  • 体温が下がり始めるまでの時間が短い
  • 全体として解熱が早い

という結果でした。

高熱でしんどそうにしているときに、熱がスッと下がるだけで表情が全く変わります。

👉「高熱でグッタリしている時間を短くしてあげられる」ことが麻黄湯の大きなメリットです。


🔍 研究結果②:インフルエンザのつらい症状も早く改善

麻黄湯を飲んだグループでは、

  • だるさ
  • 寒気
  • 鼻水

といった症状が早めに落ち着いていました。

特に“インフル特有のグッタリ感”が軽くなるのは、親御さんにとっても安心ポイントです。

👉ぐったりした表情が少しずつ戻ってきて、親としてもホッとできる時間が早く訪れます。


🔍 研究結果③:副作用は少ないが、使える子は限られます

研究では大きな副作用はなかったものの、麻黄には交感神経を刺激する成分が含まれています。

そのため、

  • 喘息のある子
  • 心臓に病気がある子
  • 1歳未満の乳児

には使いにくい薬です。

さらに大事なのは、
漢方は味と香りが独特で、そもそも飲めない子が一定数いる
という現実。

飲めなければ効果は出ません。

👉漢方は体質だけでなく“味の相性”も重要で、しっかり飲める子にとっては効果が期待できます。


🏥 現代のインフル治療の中で麻黄湯はどう使う?

現在はタミフル・リレンザなどの抗ウイルス薬が一般的です。

それぞれの役割は次のとおり。

✔ 抗ウイルス薬

ウイルスが増えるスピードを抑える薬

✔ 麻黄湯

熱・寒気・だるさをはじめとする 症状を楽にする薬

役割が違うため、臨床では

  • 抗ウイルス薬+麻黄湯を併用して、症状を早く楽にする
  • 抗ウイルス薬を使わないケースで、麻黄湯を症状緩和として使う

といった使い方をします。

👉抗ウイルス薬と麻黄湯は“どちらか”ではなく、症状に応じて組み合わせることでお子さんを楽にできます。


🧑‍⚕️ 小児科専門医としてのリアルな印象

外来で診ていて感じることとして、麻黄湯が“合う子”は確かにいます。

特に、

  • 強い寒気や震え
  • 発熱直後のしんどさ
  • 咳・鼻づまりもつらい
  • 顔が赤くぼーっとしている

といった“典型的なインフル初期”のケースでは、飲んで数時間で楽そうになることも。

一方で、

  • 喘息
  • 心疾患
  • 乳幼児
  • 漢方が飲めない子

には使用できません。

👉“効く子にはしっかり効く”一方で“使えない子がいる”というのが麻黄湯のリアルです。


📘 まとめ:麻黄湯は“症状を楽にする”頼れる選択肢のひとつ

  • 麻黄湯は小児インフルで科学的に効果が確認されている漢方
  • 熱が下がるのが早く、つらい症状も早めに改善
  • 副作用は少ないが、喘息・心疾患・乳児には使えない
  • 味が独特で、飲めない子も多く“使える子が限られる”
  • 抗ウイルス薬との併用も可能
  • 飲める子・体質に合う子には、しっかり症状緩和が期待できる

👉麻黄湯は“飲めて相性の良い子ども”にとって、インフルのしんどい時間を短くしてくれる心強い漢方です。


👋 さいごに

麻黄湯は、昔ながらの漢方ですが、しっかりした研究で効果が示されている“エビデンスのある漢方”です。一方で、使える子が限られる薬でもあります。

「うちの子に合うのかな…?」
「抗ウイルス薬と一緒に使って大丈夫?」

そんな疑問があれば、どうか遠慮なく小児科医に相談してくださいね。
あなたのお子さんにとって、最も安心できる治療を一緒に考えていきましょう。