目次
👶はじめに
赤ちゃんの股関節は生まれたばかりの頃、とても柔らかく繊細です。
お母さんのお腹の中では両脚を曲げてM字型の姿勢で過ごしていますが、生後まもなくの生活で**不自然な姿勢(脚をまっすぐ伸ばした状態)**が続くと、股関節に負担がかかり「発育性股関節形成不全(股関節脱臼)」を引き起こすことがあります。
特に、抱っこやおくるみ、抱っこ紐の使い方が大きく関係します。
この記事では、整形外科医の報告やPDF資料をもとに、日常生活で気をつけたいポイントを詳しく解説します。
👉 「赤ちゃんを包む=安心」と思いがちですが、包み方次第で股関節には負担になることも。
🦵股関節脱臼ってどんな病気?
赤ちゃんの股関節は、大腿骨の先端(骨頭)が骨盤のくぼみ(臼蓋)にはまりこんで安定しています。
ところが、脚をまっすぐに伸ばして固定した姿勢が続くと、この骨頭が臼蓋から外れやすくなってしまいます。
過去には、寒冷地で赤ちゃんをきつくくるんで育てる「スワドリング(巻きおむつ)」の習慣があった地域で、脱臼が多発していたという報告もあります。
つまり、「あたためたい」「しっかり支えたい」という思いが、実は股関節にとってはリスクになる場合もあるのです。
👉 「しっかり包む」より「ゆるく支える」が股関節にはやさしいです。
🤱おくるみの注意点
おくるみは赤ちゃんを安心させる反面、足をピタッと伸ばした状態で包んでしまうと股関節に負担がかかります。
脚を伸ばしたまま布で固定すると、骨頭が臼蓋から押し出される方向に力が加わり、脱臼を誘発する肢位となります。
💡理想は「おしりがしっかり支えられ、太ももが左右に開いてひざが上がったM字姿勢」。
おくるみを使う場合も、脚を自由に動かせるスペースを残すことが大切です。
👉 足をまっすぐに“ピン”と伸ばす巻き方はNG。M字姿勢が守れる巻き方を。
🎒抱っこ紐選びと使い方のポイント
抱っこ紐の種類や使い方によっても、股関節にかかる負担は大きく変わります。
特に注意したいのは次の点です👇
❌足がすべて包まれるタイプは注意

足をすべて覆ってしまうタイプの抱っこ紐は、中で脚がどんな姿勢になっているか確認できないという問題があります。
一見安定して見えても、実際には脚が伸びたまま固定されていることがあり、知らないうちに股関節に負担がかかってしまうのです。
👉 「見えない抱っこ=気づけない抱っこ」。足の位置を確認できるかが大切です。
✅理想は「M字姿勢」が確認できるタイプ

外から太もも~ひざの位置が見えるタイプ、または手で触ってM字姿勢が保たれているか確認できる構造のものが安心です。
最近では「コアラ抱っこ」と呼ばれる、おなか同士を向かい合わせて抱くスタイルが自然なM字を保ちやすくおすすめされています。
また、足を全ておくるみで覆うタイプの抱っこ紐だと、中で脚がどうなっているか分からず危険です。
股関節がしっかりと自然なM字の状態であることを外から確認できるタイプが理想的です。
冬場は「あたためよう」としておくるみ+抱っこ紐の重ね使いをすることがありますが、“あたためる”と“固定する”は別物。
温めたいときはレッグウォーマーやブランケットを併用して、足が自由に動けるスペースを確保しましょう。
👉 抱っこ紐を選ぶときは「足が見える?」「M字になってる?」をチェック!
🩺予防と早期発見のために
日本では1970年代以降、乳児股関節脱臼検診が全国的に実施されるようになり、発症率は大きく減りました。
しかし最近では、**脱臼への認識低下や新しい育児法(スリングやおくるみの再流行)**によって再びリスクが懸念されています。
健診では、脚の開き具合(開排制限)や太もものしわの左右差をチェックします。
もし気になるときは、早めに小児科や整形外科へ相談してください。
👉 「気になる」段階で相談を。早期発見が後悔しない育児への第一歩。
👣まとめ
- 股関節脱臼は、脚をまっすぐに伸ばした姿勢が続くことで起きやすい
- 抱っこ紐・おくるみは脚の自由な動きを妨げないタイプを選ぶ
- M字姿勢をキープできているか、見える or 触って確認できることが大事
- 寒い時期ほど「包みすぎ」に注意
- 健診での早期発見が何より重要
👉 “あたためすぎず、ゆるく支える”が股関節を守る合言葉。

