離乳食を食べてくれない我が子を前に…― 小児科専門医が教える見守り方と対応の考え方

離乳食を食べてくれない我が子を前に…― 小児科専門医が教える見守り方と対応の考え方

はじめに

離乳食を用意しても、
口を開けてくれない。
数口で終わってしまう。
せっかく作ったのに、ほとんど食べない。

そんな場面を前にすると、
「栄養は足りているの?」
「このままで大丈夫?」
と、不安になるのはとても自然なことです。

この記事では、離乳食を食べないときに何を心配し、何を見守ってよいのか
そしてどんなときに相談を考えるべきかを、
小児科専門医の視点で整理していきます。


離乳期の栄養の特徴

離乳期は、
「食べる力」を育てていく時期です。

  • 栄養源が母乳・ミルク中心から徐々に移行する
  • 噛む・飲み込む機能が発達途中
  • 味・食感への慣れが必要

つまりこの時期は、
量よりも“食べる経験”がとても大切です。

👉 離乳食は「栄養摂取」だけでなく「発達の練習」でもあります。


「食べない」と感じる理由

親御さんが「食べない」と感じる背景には、
いくつかのパターンがあります。

よくあるケースとして

  • 口を開けない
  • 数口で終わる
  • 特定のものだけ拒否する
  • 日によって食べる量が大きく変わる

しかし実際には、
発達の個人差の範囲内であることも少なくありません。

👉 他の子との比較が不安を大きくしやすい時期です。


まず確認したい3つの視点

① 形態は合っているか

  • ペーストが硬すぎないか
  • 粒が大きすぎないか
  • 一口量が多すぎないか

発達に合わない形態は、
「食べられない」ではなく「怖い」と感じさせてしまいます。


② 食事時間が長すぎないか

  • 30分以上続いていないか
  • 途中で機嫌が悪くなっていないか

食事が「疲れる時間」になると、
拒否が固定化しやすくなります。


③ 食べさせようとしすぎていないか

「あと一口だけ」
「これだけは食べて」
その気持ちはとてもよく分かります。

でも、強い介助や無理な勧めは、
食事=不快な体験として記憶されることがあります。

👉 食事は“楽しい時間”が土台です。


見守ってよいサイン

次のような場合は、
焦らず経過を見てよいことが多いです。

  • 母乳・ミルクは飲めている
  • 体重が成長曲線に沿って増えている
  • 機嫌よく過ごせている
  • 食事の場に座ることはできている

👉 「食べる量」より「全体の成長」を見ます。


受診を考えたいサイン

一方で、次のような場合は一度相談をおすすめします。

  • 体重の増え方が成長曲線から外れてきた
  • 極端に食べられるものが限られている
  • 食事のたびに強い拒否・嘔吐がある
  • 飲み込みにくそう、むせが多い
  • 発達全体に気になる点がある

👉 栄養だけでなく、発達の視点も含めて評価します。


離乳食は「広げる」より「積み重ねる」

この時期は、

✔ たくさん食べさせること
よりも
✔ 小さな成功体験を積み重ねること

が重要です。

  • 食べられるものをベースに少し広げる
  • 今日は一口でもOKとする
  • 食べなくても責めない

👉 “快の記憶”が次の食行動を育てます。


親御さんへ伝えたいこと

離乳食がうまく進まないと、
自分のやり方を疑いたくなるものです。

でも、
離乳期は「できるようになる途中」の時期。

うまくいかない日があって当たり前です。

不安が続くときは、
栄養相談や小児科で一緒に整理していきましょう。

👉 子どもは、食べる力もゆっくり育ちます。


まとめ

  • 離乳食は量より経験が大切
  • 発達に合った形態かを確認
  • 無理な介助は逆効果になることも
  • 成長曲線から外れてきたら相談
  • 焦らず、小さな成功体験を積み重ねる

離乳食は、
「食べる」ことを学ぶはじめてのステージです。

焦らなくて大丈夫。
困ったときは、一緒に考えていきましょう。