目次
はじめに
最近、国内のいたるところで
「はしか(麻疹)に感染した人が確認された」
というニュースを目にする機会が増えてきました。
「海外の話でしょ」
「ワクチンがあるから大丈夫では?」
そう感じる方も多いかもしれません。
しかし、小児科医の立場から見ると、今の状況は決して他人事ではありません。
麻疹は、
いったん持ち込まれると、一気に広がる力を持った感染症です。
そして、真っ先に影響を受けるのは、子どもや妊婦さんです。
この記事では、
いま親として「最低限知っておいてほしい麻疹の怖さ」と
「家族を守るためにできること」を、正確にお伝えします。
🦠 麻疹(はしか)は「とにかく感染力が強い」
麻疹は、麻疹ウイルスによる感染症です。
この病気の最大の特徴は、異常なほどの感染力にあります。
- 咳やくしゃみだけでなく
- 同じ空間にいただけで
- マスクをしていても
感染する可能性があります。
実際、麻疹は
「免疫を持っていない人が同じ空間にいれば、ほぼ全員が感染する」
といわれるほどです。
👉 インフルエンザや新型コロナよりも、はるかに感染力が強い病気です。
🔥 風邪に見えて、突然悪化する病気
麻疹は、最初から「いかにも重そう」な症状で始まるわけではありません。
初期は、
- 発熱
- 咳
- 鼻水
- 目やに、結膜充血
など、ごく普通の風邪と区別がつかない症状です。
ところが数日後、
- いったん下がりかけた熱が
- 再び39〜40℃近い高熱となり
- 顔から全身へ発疹が一気に広がる
という経過をたどります。
この時点で、子どもはぐったりし、
「明らかに様子がおかしい」状態になります。
👉 「ただの風邪だと思っていたら、急に重症化する」それが麻疹の怖さです。
👶 子どもが麻疹にかかったとき、本当に怖いこと
麻疹は、子どもにとって命に関わる病気です。
合併症として、
- 肺炎
- 中耳炎
- 脳炎
が起こることがあり、
とくに乳児や予防接種を受けていない子では重症化しやすくなります。
脳炎を起こした場合、
- 命を落とす
- 重い後遺症が残る
可能性があります。
さらに恐ろしいのは、
**麻疹にかかってから数年後に発症する重い神経の病気(SSPE)**です。
これは、
元気に回復したように見えた子が、
数年後に徐々に脳の機能を失っていく病気で、
現在も有効な治療法はありません。
👉 「治ったから終わり」ではない病気。それが麻疹です。
🤰 妊娠中の麻疹感染は、取り返しがつかないことも
妊娠中に麻疹に感染した場合、
問題になるのは「母体」だけではありません。
妊婦さん自身への影響
- 高熱が長く続く
- 肺炎などを合併しやすい
- 入院が必要になることもある
妊娠中は使える薬も限られ、
治療が難しくなることがあります。
お腹の赤ちゃんへの影響
麻疹は、
- 流産
- 早産
- 低出生体重児
のリスクを高めることが知られています。
しかも、
妊娠中はMRワクチンを接種できません。
👉 「うつらないように気をつける」だけでは防ぎきれないのが、麻疹の怖いところです。
💉 麻疹は「かかってから」では遅い病気
麻疹に対する特効薬はありません。
治療は、
- 解熱
- 水分補給
- 合併症が起きたら対応する
といった、対症療法のみです。
つまり、
重症化を防ぐ唯一の方法は「かからないこと」= 予防接種です。
💉 MRワクチンは「2回」打ってはじめて意味がある
麻疹の予防は、**MRワクチン(麻疹・風疹混合)**で行います。
- 1回目:1歳
- 2回目:小学校入学前の1年間
この2回接種が非常に重要です。
1回だけでは、
- 免疫が十分につかない子が一定数いる
- 集団として流行を止められない
という問題があります。
👉 「1回打ったから安心」ではありません。2回目まで完了して、初めて子どもを守れます。
🌍 「日本は排除国」でも、安全とは限らない
日本は、かつて
「麻疹排除国」と認定されました。
しかしそれは、
国内にウイルスが存在しないという意味ではありません。
- 海外からウイルスが持ち込まれる
- 免疫を持たない人の間で広がる
- 子どもや妊婦さんに感染する
この流れは、今も実際に起きています。
👉 ワクチンを打っていない人が集まると、麻疹は簡単に広がります。
📝 まとめ
- 麻疹は、非常に感染力が強い
- 風邪のように始まり、突然重症化する
- 子どもでは、肺炎・脳炎・後遺症のリスクがある
- 妊娠中の感染は、母体・赤ちゃん双方に深刻な影響を及ぼす
- 特効薬はなく、予防接種だけが確実な対策
- MRワクチンは2回接種してはじめて意味がある
👉 「まさか、うちの子が」その“まさか”が、現実になる病気です。

