夜尿症(おねしょ)の正しい知識と向き合い方― 親が知っておきたいポイントを小児科専門医が解説

夜尿症(おねしょ)の正しい知識と向き合い方― 親が知っておきたいポイントを小児科専門医が解説

はじめに

「もう小学生なのに、まだおねしょが続いている…」
「叱ってはいけないと分かっているけれど、正直つらい」

夜尿症(おねしょ)は、多くの親御さんが誰にも相談できずに悩んでいる問題です。
一方で、夜尿症は「しつけ」や「本人の努力不足」ではなく、成長や体の仕組みと深く関係する医学的な状態であることが分かっています。

この記事では、親御さんにぜひ知っておいてほしい
夜尿症の正しい知識と、今日からできる向き合い方について、小児科専門医の立場からわかりやすく解説します。

👉「知ること」そのものが、親子を楽にする第一歩です。


夜尿症とは?まず知っておきたい基本

夜尿症とは、


5歳以上の子どもで、睡眠中のおもらしが
・月に1回以上
・3か月以上続く状態

を指します。

昼間は問題なくトイレに行けていても、
夜だけおねしょがある場合も夜尿症に含まれます。

👉「まだ5歳だから…」と悩む必要はありませんが、困っているなら相談してよい状態です。


夜尿症はどれくらい多いの?

夜尿症は決して珍しいものではありません。

  • 5歳ごろ:約15%
  • 7歳ごろ:約10%
  • 10歳ごろ:約5%
  • 中学生でも2〜3%

年齢とともに自然に減っていくことは多いですが、
何もせずに我慢し続けなければいけない病気ではありません。

👉「成長すれば治る」=「何もしなくていい」ではありません。


夜尿症の原因は「3つのバランス」

夜尿症は、次の3つのバランスがうまく合っていないことで起こります。

① 夜に作られる尿の量が多い

本来、夜は尿の量を減らすホルモンが分泌されます。
この働きがまだ十分でないと、夜にたくさん尿が作られてしまいます。

② 膀胱にためられる尿の量が少ない

膀胱の成長スピードには個人差があります。
夜の尿量に対して、膀胱がまだ小さい場合もあります。

③ 尿意で目が覚めにくい

眠りが深く、「尿意 → 目が覚める」という反応がまだ育っていないことがあります。

👉 どれも子どもの性格や努力の問題ではありません


夜尿症にはタイプがあります

診療では、まず次の2つを区別します。

● 単一症候性夜尿症

  • 夜だけおねしょがある
  • 昼間の尿もれや頻尿はない

👉 もっとも多いタイプです。

● 非単一症候性夜尿症

  • 夜尿に加えて、昼間の尿もれ・頻尿・我慢しにくさがある
  • 便秘を伴うことも多い

👉 この場合は、まず昼間の症状や便秘の治療が優先されます。


家庭でできる大切な関わり方

夜尿症の治療で、いちばん大切なのは家庭での関わり方です。

✔ 絶対にしてほしいこと

  • 叱らない
  • 責めない
  • 比べない

失敗した朝も、できるだけ淡々と対応してください。

✔ 生活の工夫

  • 夕方以降の水分は「少量ずつ」
  • 寝る前に必ずトイレへ
  • 便秘があればしっかり治す

👉 安心できる環境そのものが治療になります。


医療機関でできる治療

「様子を見る」以外にも、治療の選択肢があります。

● アラーム療法

おねしょをするとアラームが鳴り、
「尿意 → 目が覚める」練習をする方法です。

  • 根気は必要
  • 長期的な改善が期待できます

● お薬による治療

夜に作られる尿の量を減らすお薬などを使います。

  • 効果が比較的早く出やすい
  • 宿泊行事前などにも使われます
  • 医師の指示のもと安全に使用します

👉 お子さんとご家庭に合った方法を一緒に選びます。


受診を考えてよいタイミング

次のような場合は、一度相談してみてください。

  • 本人が強く気にしている
  • 学校行事やお泊まりを避けるようになった
  • 小学校中学年以上でも頻繁に続いている
  • 昼間の尿トラブルや便秘がある

👉 早めの相談で、親子ともに楽になることが多いです。


親御さんへ伝えたいこと

夜尿症は
❌ 甘えではありません
❌ しつけ不足でもありません

成長と体の仕組みに関わる、治療できる状態です。

親御さんが味方でいることが、
お子さんにとって何よりの支えになります。

👉 「このままでいいのかな?」と感じたら、どうか一人で抱え込まず、小児科で相談してください。