目次
はじめに
「キスでうつる病気」と聞くと、
どこか大人の病気、思春期の話のように感じるかもしれません。
でも実は、
EBウイルス感染症は乳幼児期にもよく感染する、とても身近なウイルス感染症です。
多くの場合、子どもの頃の感染は軽く、気づかないまま終わります。
一方で、年齢によっては
発熱やのどの痛み、強いだるさが続く
「伝染性単核球症」という形で症状が出ることもあります。
この記事では、
EBウイルス感染症の正体と、親として知っておきたいポイントを
小児科専門医の立場からやさしく解説します。
👉 知っておくだけで、いざという時に落ち着いて対応できます。
EBウイルス感染症ってどんな病気?
EBウイルス(EBV)は、唾液を介して感染するウイルスです。
同じヘルペスウイルスの仲間で、一度感染すると体の中に潜伏し続けます。
✔ キス
✔ 食器やコップの共有
✔ 乳幼児期の密なスキンシップ
こうした日常的な接触で感染するため、
特別な行動が原因になる病気ではありません。
実際、
ほとんどの大人はすでにEBウイルスに感染した経験があります。
👉 「知らないうちに感染して、知らないうちに治っている」ことが多い病気です。
なぜ「キス病」と呼ばれるの?
EBウイルスは、
いつ感染するかによって症状の出方が大きく変わるという特徴があります。
乳幼児期の感染
- 症状が出ない、または軽い風邪程度
- 感染に気づかないまま終わることがほとんど
思春期以降の初感染
- 発熱
- のどの強い痛み
- 首のリンパ節の腫れ
- 強いだるさ
といった症状が目立ち、
伝染性単核球症を発症することがあります。
欧米では、思春期の若者が
キスをきっかけに初感染するケースが多いため、
「キス病 (kissing disease)」と呼ばれるようになりました。
👉 名前の印象ほど、特別な病気ではありません。
子どもがかかると、どんな症状が出る?
年齢や体質によって差はありますが、
症状が出る場合は次のようなものが見られます。
- 発熱(数日〜1週間以上続くことも)
- のどの痛み・扁桃の腫れ
- 首のリンパ節の腫れ
- 全身のだるさ
- 食欲低下
血液検査では、
肝機能の数値が一時的に上がることもあります。
👉 いわゆる「元気のない風邪が長引く」ような印象です。
重症になることはある?
ほとんどの場合、
自然に回復し、後遺症を残すことはありません。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
- 高熱が長く続く
- 元気が極端にない
- 肝臓や脾臓が大きく腫れている
- 血液検査で強い異常がある
ごくまれですが、
血球貧食症候群などの重い合併症を起こすこともあります。
👉 「いつもと違う」「様子がおかしい」と感じたら、早めに受診しましょう。
治療はどうするの?
EBウイルス感染症には、
直接ウイルスをやっつける特効薬はありません。
治療の基本は、
- 安静
- 水分補給
- 解熱鎮痛薬などの対症療法
です。
なお重要なポイントとして、
- 抗菌薬(抗生物質)は基本的に不要
- むしろ特定の抗菌薬で発疹が出やすくなることがある
ため、
「風邪だから抗生剤」という治療は行いません。
👉 無理に薬を使わず、体が治るのを待つ病気です。
家庭で気をつけたいこと
- 発熱やだるさが強い間は、しっかり休ませる
- 水分が取れているかを確認する
- 元気が戻るまでは、激しい運動を控える
特に脾臓が腫れている場合は、
強い衝撃で脾臓を傷めるリスクがあるため、
医師の指示があるまでは運動制限が必要です。
👉 「少し元気になったから大丈夫」と無理させないことが大切です。
まとめ|親が知っておきたいポイント
- EBウイルスはとても身近なウイルス
- 子どもの頃の感染は、多くが軽症または無症状
- 思春期以降は症状が出やすいが、ほとんどは自然に回復する
- 長引く発熱や強いだるさがあれば受診を
👉 正しい知識があれば、必要以上に怖がる必要はありません。

