花粉症と関係する果物アレルギー- 口腔アレルギー症候群の正しい知識を小児科専門医が解説

花粉症と関係する果物アレルギー- 口腔アレルギー症候群の正しい知識を小児科専門医が解説

はじめに

これまでこのブログでは、
牛乳や卵、ナッツ類など、さまざまな食物アレルギーについて解説してきました。

その中で
「果物を食べると口の中がかゆくなる」
という相談は、実はとてもよくあります。

そしてこの症状は、
花粉症と深く関係していることが分かってきました。

今回は、見逃されやすい
口腔アレルギー症候群について、
親御さん向けに分かりやすく整理します。

👉 「よくある症状」ほど、正しい理解が大切です。


そもそも「果物アレルギー」ってどんなもの?

果物によるアレルギー反応には、実は2つのタイプがあります。

① 口の中だけに症状が出るタイプ

口腔アレルギー症候群(OAS)

  • 口の中がかゆい
  • 舌や唇がピリピリする
  • のどに違和感がある

といった症状が中心で、
多くの場合、全身症状は起こりません。

② 全身症状が出るタイプ

  • じんましん
  • 咳、息苦しさ
  • 腹痛、嘔吐
  • アナフィラキシー

こちらは、耐熱性のアレルゲンが原因となることが多く、
加工品も含めて厳密な除去が必要になる場合があります。

👉 同じ「果物アレルギー」でも、対応は大きく異なります。


口腔アレルギー症候群(OAS)とは?

**口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndrome)**とは、
果物や野菜を食べた直後に、

  • 口の中がかゆくなる
  • 舌や唇がイガイガする
  • のどがムズムズする

といった症状が、口の中に限局して起こるアレルギーです。

以前は
「果物の刺激によるもの」
「アレルギーではない」
と考えられていた時期もありました。

しかし現在では、
免疫反応が関与する、れっきとした食物アレルギーであることが分かっています。

👉 軽そうに見えても、アレルギーの一種です。


なぜ起こる?OASの原因

OASの原因となるアレルゲンには、特徴があります。

  • 植物由来のたんぱく質
  • 熱に弱い
  • 花粉のアレルゲンとよく似ている

このため、
生の果物では症状が出ても、
加熱調理されたものや缶詰、ジュースでは問題がない
ということがよくあります。

👉 「生だけダメ」は、OASを疑う大きなヒントです。


花粉症との深い関係のある花粉−食物アレルギー症候群(PFAS)

OASは、花粉症のある人に起こりやすいことが分かっています。

そのため現在では、
花粉−食物アレルギー症候群(PFAS)
という考え方が用いられています。

よく知られている組み合わせ

  • シラカンバ花粉
     りんご、もも、さくらんぼ、キウイ
  • スギ花粉
     トマト
  • ブタクサ花粉
     メロン、スイカ、きゅうり、バナナ

👉 花粉症があるお子さんは、果物の症状にも注意が必要です。


加熱すれば食べてもいいの?

OASでは、
アレルゲンが熱に弱いため、

  • 加熱調理
  • 缶詰
  • ジャム
  • 市販のジュース

などは、問題なく食べられることが多いとされています。

ただし、

  • 症状の強さには個人差がある
  • すべての人に当てはまるわけではない

ため、
無理に食べさせることはおすすめできません。

👉 「加熱すれば必ず安全」ではありません。


アナフィラキシーになることはある?

多くのOASは軽症ですが、
中には、

  • 皮膚症状が出る
  • 呼吸器症状が出る
  • 消化器症状が出る

といった、口の中以外の症状を伴う場合もあります。

この場合は、
単なるOASではない可能性もあり、
医療機関での評価が必要です。

👉 「どこまで症状が出るか」が重要な判断ポイントです。


ラテックス−フルーツ症候群との関係

関連するものとして、
ラテックス−フルーツ症候群もあります。

ラテックス(天然ゴム)にアレルギーのある人が、

  • バナナ
  • キウイ
  • アボカド
  • くり

などで症状を起こすことが知られています。

👉 医療現場でも手袋などで注意が必要なアレルギーです。


受診の目安

次のような場合は、
小児科やアレルギー専門医への相談をおすすめします。

  • 毎回同じ果物で症状が出る
  • 口以外の症状が出たことがある
  • 花粉症がある
  • 食べてよいか判断に迷う

👉 不要な除去と見逃し、どちらも防ぐことができます。


まとめ

  • 果物アレルギーには口腔内だけの症状やと全身の症状など複数のタイプがある
  • 最も多いのが口腔アレルギー症候群
  • 花粉症と深く関係しており、原因花粉によって出やすい果物がある
  • 多くは軽症だが、例外もあるため注意が必要

👉 正しい知識が、親子の安心につながります。