牛乳(ミルク)アレルギーってどんな病気?― 親が知っておきたい基本と今の考え方を小児科専門医が解説

牛乳(ミルク)アレルギーってどんな病気?― 親が知っておきたい基本と今の考え方を小児科専門医が解説

はじめに

このブログでは、食物アレルギーについて
**「怖がりすぎず、でも油断しない」**ための基礎知識を、親御さん向けにお伝えしています。

今回のテーマは、外来でも相談の多い牛乳アレルギーです。
牛乳は多くの食品に使われているため、
「どこまで避ければいいの?」「全部ダメなの?」と悩みやすいアレルゲンでもあります。

でも実は、牛乳アレルギーは
一律にすべてを避け続ける病気ではありません。
まずは基本と、今の考え方を整理していきましょう。

👉 正しく知ることが、必要以上の不安を減らします。


牛乳アレルギーの正体は「たんぱく質」

牛乳アレルギーは、牛乳そのものに反応しているわけではありません。
正確には、**牛乳に含まれる「たんぱく質」**に体の免疫が反応して起こります。

そのため大切なのは、
「牛乳かどうか」ではなく
**「どれくらいの牛乳たんぱく質が含まれているか」**という視点です。

この考え方を知るだけで、
牛乳アレルギーの見え方は大きく変わります。

👉 ポイントは「種類」よりも「量」です。


乳製品はすべて同じではありません

一口に乳製品といっても、
加工のされ方によって含まれる牛乳たんぱく質の量は大きく異なります。

  • たんぱく質がとても多いもの(チーズ、脱脂粉乳など)
  • 牛乳に近いもの(牛乳、ヨーグルト、クリームなど)
  • たんぱく質がかなり少ないもの(バターなど)

同じ「乳製品」でも、
たんぱく質量は1桁以上違うことがあります。

👉 「乳製品=全部同じ」ではありません。


牛乳アレルギーの子の栄養で大切なこと

牛乳アレルギーというと、
まず「カルシウム不足」が心配されがちです。

もちろんカルシウムは重要ですが、
実はそれと同じくらい意識したい栄養素があります。
それが**ビタミンB2(リボフラビン)**です。

牛乳を除去する場合は、
「何を避けるか」だけでなく
**「何で補うか」**を具体的に知っておくことが大切です。

👉 除去食は、栄養管理とセットで考えましょう。


カルシウムを補える食材

食材カテゴリ具体的な食材例ポイント
小魚類しらす、ちりめんじゃこ、煮干し骨ごと食べられ吸収率が高い
大豆製品木綿豆腐、厚揚げ、油揚げにがり製法のものが◎
野菜小松菜、チンゲン菜ほうれん草より吸収率が良い
海藻ひじき、切り干し大根食べすぎには注意
強化食品カルシウム強化豆乳・飲料牛乳代替として使いやすい

👉 牛乳が飲めなくても、カルシウムは食事で補えます。


ビタミンB2を補える食材

食材カテゴリ具体的な食材例取り入れやすさ
肉類豚・牛・鶏レバー少量で効率よく補給
鶏卵毎日の食事に使いやすい
大豆製品納豆朝食に取り入れやすい
魚類さば、いわし、うなぎ他の栄養も同時に摂れる
きのこしいたけ、まいたけ加熱しても栄養が残りやすい

👉 ビタミンB2は「知らないと不足しやすい」栄養素です。


牛乳アレルギーでも使えるミルクの種類

牛乳アレルギーがある赤ちゃんでも、
状態に応じて選べるミルクがあります。

具体的なミルク製品名(日本で使用されているもの)

分類製品名
高度加水分解ミルク明治ミルフィーHP
MA-mi(森永)
ペプディエット(雪印ビーンスターク)
ニューMA-1(森永)
アミノ酸ミルク明治エレメンタルフォーミュラ

👉 ミルク選択は、必ず主治医と相談してください。


牛乳アレルギーは「治りにくい」けれど前進できる

最近の食物アレルギー診療では、
安全に食べられる範囲で食べて慣れていくという考え方が主流です。

牛乳は完全に食べられるようになるまで
時間がかかりやすい食品ですが、
牛乳20mL相当まで大丈夫になると、
多くの加工食品が食べられるようになります。

👉 「全部OK」より「できることが増える」が大切です。


まとめ

牛乳アレルギーがあっても、

  • 栄養は食事で補える
  • ミルクには選択肢がある
  • 成長とともに状況は変わる

ということを知っておくだけで、
日常の不安はぐっと減ります。

👉 焦らず、その子のペースで大丈夫です。