食物アレルギーの診断― 血液検査だけではない診断方法を小児科専門医が解説

食物アレルギーの診断― 血液検査だけではない診断方法を小児科専門医が解説

食物アレルギーの診断というと、
「血液検査の数値で決まる」と思われがちです。

しかし実際の診療では、
血液検査は診断の「一部」にすぎません。

今回は、

  • 血液検査は何を見ているのか
  • プリックテストとはどんな検査なのか
  • そして、食物アレルギーの診断がどうやって決まるのか

を、親御さん向けに整理して解説します。


食物アレルギー診断でいちばん大切なこと

食物アレルギーの診断で、
医師が最も重視しているのは、

「実際に食べて、何が起きたか」

です。

具体的には、

  • 何を食べたか
  • どれくらいの量を食べたか
  • 食後どのくらいで症状が出たか
  • どんな症状が、どれくらい続いたか

こうした**実際のエピソード(病歴)**が、診断の土台になります。

👉 検査は補助。中心になるのは「症状の経過」です。


血液検査は「何を見ている」検査?

食物アレルギーでよく行われる血液検査は、
特異的IgE抗体検査と呼ばれるものです。

この検査で調べているのは、

「この食べ物に対して、
アレルギー反応を起こしやすい体質かどうか」

という点です。

血液検査で分かること

  • その食材に反応しやすい体質があるかどうか
  • アレルギーを起こす可能性

血液検査で分からないこと

  • 実際に症状が出るかどうか
  • どれくらいの量なら食べられるか
  • 今後どうなるか

👉 血液検査は「起こるかもしれない」を示す検査で、「起こったか」を示すものではありません。


血液検査ですべてのアレルギーが分かるわけではない

もう一つ大事なポイントがあります。

血液検査は、

  • すべての食材を調べられるわけではありません

卵・乳・小麦などの主要なアレルゲンは測定できますが、

  • マイナーな食材
  • 加工食品
  • 特殊な食材

については、
そもそも血液検査の項目が存在しないこともあります。

👉 「検査項目がない=アレルギーがない」ではありません。


プリックテストとはどんな検査?

血液検査と対照的なのが、
皮膚プリックテストです。

プリックテストは、

  • 皮膚にごく少量のアレルゲンをのせ
  • 針で軽く皮膚表面を刺激し
  • 赤みや腫れが出るかを見る

という検査です。

プリックテストの特徴

  • 原則として、どんなものでも検査できる
  • 実際に食べた食品を使うことも可能
  • 結果が短時間で分かる

👉 原因となる食材がはっきりしないときに役立つ検査です。


プリックテストも「答え」ではない

ただし、プリックテストも万能ではありません。

  • 陽性でも症状が出ない人がいる
  • 陰性でも、実際には症状が出ることがある

という点は、血液検査と同じです。

👉 プリックテストも「診断を補助する検査」の一つです。


検査が陽性でも、症状が出ないことは珍しくない

とても大切なポイントです。

  • 血液検査が陽性
  • プリックテストが陽性

でも、

実際には何も症状が出ない

という人は、決して少なくありません。

この場合、

「検査が陽性だから、
これまで普通に食べていたものもやめなければいけない」

ということには、なりません

👉 検査結果だけを理由に、食べられていたものをやめる必要はありません。


食物アレルギーの診断は「総合判断」

ここまで見てきたように、

  • 血液検査
  • プリックテスト

は、どちらも診断材料の一部です。

実際の診断では、次の情報をすべて組み合わせます。

診断に使われる情報

  • 実際の症状(エピソード)
  • 血液検査・プリックテストの結果
  • 年齢や成長の過程
  • これまで問題なく食べられていたかどうか

👉 どれか一つだけで診断が決まることはありません。


診断は「一度で確定」するものではない

食物アレルギーの診断は、

  • 一度の検査
  • 一度の受診

で終わるものではありません。

  • 成長とともに反応が変わる
  • 食経験が増えて評価が進む
  • 食べられる量が変化する

こうした時間の経過含めて、
診断や対応は見直されていきます。

👉 食物アレルギーは「経過をみる医療」です。


次につながる検査:経口負荷試験

総合判断の中で、

  • 本当に食べられるのか
  • どれくらいの量なら安全なのか

を確認するために行われるのが、
経口負荷試験です。

👉 経口負荷試験については次回以降の記事でまとめます。


🔵 まとめ

  • 血液検査は「アレルギーになりやすさ」を見る検査
  • 血液検査ですべての食材を調べられるわけではない
  • プリックテストは幅広いアレルゲンを調べられるが、補助的検査
  • 検査が陽性でも症状が出ない人は多い
  • 症状なく食べられている食品を、検査結果だけで除去する必要はない
  • 食物アレルギーの診断は、複数の情報を組み合わせた総合判断

👉 「検査結果」だけでなく、「子ども全体」を見て判断することが重要です。