はじめに
生まれたばかりの赤ちゃんの体に、うっすら青いあざのようなものを見つけて
「打った?」「どこかにぶつけたのかな?」と心配になる親御さんはとても多いです。
実は、この“青いあざ”の多くは打撲ではなく、自然な皮膚の色素変化によるもの。
特にアジア人に多く見られるもので、
ほとんどが自然に消える良性のあざです。
今回は「青いあざ」に注目して、
自然に消えるものと、注意が必要なタイプを小児科専門医の立場からわかりやすく解説します。
💙 蒙古斑(もうこはん)
赤ちゃんの青いあざの中で最も一般的なのが、この蒙古斑です。
- お尻や背中の下部、太ももの付け根などに出現。
- 生まれたときから見られ、アジア人では8〜9割の赤ちゃんに見られます。
- 皮膚の深い部分(真皮層)にメラニンを作る細胞(メラノサイト)が残ることで青く見える現象。
- 通常、3〜6歳ごろには自然に消失します。
蒙古斑は完全に無害で、痛みもかゆみもなく、治療の必要はありません。
👉 お尻のあざは多くの赤ちゃんにある“標準装備”。心配いりません。
💠 異所性蒙古斑
蒙古斑と同じ仕組みですが、お尻以外の場所(腕・背中・肩・顔など)に見られるタイプです。
- 生後すぐから認められ、色はやや濃く、広がるように見えることもあります。
- 通常の蒙古斑よりも消えるまでに時間がかかる傾向。
- 成長しても残ることがありますが、悪性化することはありません。
👉 場所が unusual(珍しい)だけで、危険なものではありません。
💎 真皮メラノサイトーシス
異所性蒙古斑と非常に似ていますが、より色が濃く、広範囲に見られることがあります。
肩・背中・腕・顔などに現れ、成人になっても残る場合もあるのが特徴です。
- アジア人や黒人に比較的多く見られます。
- 通常は無症状で、悪性化は極めてまれ。
- 顔など目立つ部位では美容目的のレーザー治療を検討する場合もあります。
👉 残っても健康への影響はありません。
どうしても気になるときは皮膚科で相談を。
🔵 青色母斑
他の青いあざと異なり、やや盛り上がった丸い形をしているのが特徴です。
- 多くは生まれつき、または思春期以降に出てきます。
- 色は灰青色〜黒っぽく、境界がはっきり。
- 顔や手足にできることが多く、直径は数mm〜1cmほど。
- 基本的に良性ですが、まれに悪性黒色腫との区別が難しいことも。
👉 突然大きくなったり、形が変わる場合は一度皮膚科へ。
🩺 受診の目安
青いあざの多くは自然に消えますが、次のような場合は相談をおすすめします。
- お尻以外の場所にあり、どんどん広がる・濃くなる
- 盛り上がりを伴う、または急に形が変わった
- 顔など、成長しても残りそうな場所で気になる
- 医師や周囲から「打撲では?」と誤解されやすい部位にある
👉 医師に一度確認しておけば、安心して経過を見守れます。
🔍 ご家庭で確認する際のポイント
この記事では個人情報や著作権の関係から、実際の写真は掲載していません。
「これかな?」と思うあざがあれば、
ぜひ病名(例:蒙古斑、異所性蒙古斑、青色母斑など)をGoogle画像検索して、
ご自身のお子さんのあざと色や場所を照らし合わせてみてください。
👉 似ているように見えても、深さや原因が異なることがあります。
迷ったら写真を撮って、小児科・皮膚科で相談を。
まとめ
- 青いあざの多くは皮膚の奥にメラニンが残っているだけで自然に消えます。
- 蒙古斑はほぼ全員に見られる正常な変化。
- お尻以外の場所の青あざは少し長く残ることもありますが、心配はいりません。
- 盛り上がりや急な変化がある場合は皮膚科へ。
👉 「このあざ、病院に行くべき?」という迷いを解消するヒントにしてください。

