赤ちゃんの“あざ”これって大丈夫?― 「赤いあざ」編

赤ちゃんの“あざ”これって大丈夫?― 「赤いあざ」編

はじめに

生まれたばかりの赤ちゃんの肌に、ポツンと赤いあざを見つけて
「打ったのかな?」「出血してる?」と心配になる親御さんはとても多いです。

実は新生児のあざは、その色調・部位・出現時期によって、
ある程度その原因や経過を予想することができます。

今回はその中でも「赤いあざ」に注目し、
自然に消えるタイプなのか、病院に相談した方がいいタイプなのか
小児科専門医の立場からわかりやすく解説します。

👉 今あるあざが“様子を見てよいものか”を見極めるヒントにしてください。


🩸 サーモンパッチ(正中母斑)・ウンナ母斑

生まれた直後から眉の間やまぶた、うなじなどに見られる淡いピンク色のあざです。
赤ちゃんの約3割に見られる、ごく一般的なものです。

  • 毛細血管が一時的に拡張しているだけで、病気ではありません。
  • 痛みもかゆみもなし。
  • 額やまぶたのあざは1歳ごろまでに自然に消失。
  • うなじ(ウンナ母斑)はやや残りやすい傾向があります。

👉 治療は不要。特にうなじの赤みは時間はかかりますが、成長とともに目立たなくなります。


🍓 乳児血管腫(いちご状血管腫)

生後しばらくしてから出てくる盛り上がった赤いあざです。
生まれた直後から認めることもありますが、生後2〜3週間で気づかれる事が多く、半年〜1歳ごろにかけて最も大きくなります。

  • 表面がいちごのようにブツブツして赤い。
  • 顔・頭・背中などどこにでもできる。
  • 多くは7歳ごろまでに自然に平らになっていく。
  • 目・鼻・口などの機能に関わる場所では早期治療を検討。

治療が必要な場合は、β遮断薬(ヘマンジオルⓇ)の内服レーザー治療が選択されます。
これらの治療開始時期は病院や施設によって方針に差がありますが、
一般的には次のようなタイミングが目安とされています。

  • β遮断薬の内服:生後1か月ごろ(5週以降)〜6か月未満に開始することが多く、
     早期に始めることで増大を抑える効果が期待できます。
  • レーザー治療:生後2〜3か月ごろから検討されることが多く、
     1歳前後までに完了するケースもあります。

👉 あざの大きさや場所によって方針は変わります。迷ったら1ヶ月健診で一度相談するのが安心です。


🌺 単純性血管腫(ポートワイン母斑)

生まれたときからある、くっきりとした赤紫色のあざ
ワインのような色をしていることからこの名がついています。

  • 顔の片側や手足に出ることが多い。
  • 自然には消えにくく、成長とともに濃くなる傾向。
  • 顔の片側に出る場合、まれに脳や眼の病気(スタージ・ウェーバー症候群)を伴うことがある。
  • 治療はレーザー照射(Vビームなど)が有効。早めの開始でより良い結果が得られます。

👉 顔の片側に広がる赤みは、まずは皮膚科・小児科で相談を。


🩺 受診の目安

多くの赤いあざは自然に目立たなくなりますが、
次のようなときは早めに医療機関に相談してください。

  • あざが急に大きくなった
  • 出血・ただれ・潰瘍がある
  • まぶた・鼻・口・肛門の周囲など、日常動作に関わる場所
  • 顔の片側に広がる濃い赤み
  • あざの下の皮膚が硬く盛り上がってきた

👉 “この前よりも広がってる?”と感じたら、迷わず相談を。


🔍 ご家庭で確認する際のポイント

この記事では個人情報や著作権の関係から、実際の写真は掲載していません。
もし「これかな?」と思うあざがあれば、
ぜひ病名(例:乳児血管腫、サーモンパッチ、単純性血管腫など)を
Google画像検索で調べ、
ご自身のお子さんのあざと見た目や部位を照らし合わせて確認してみてください。

👉 “見比べてみる”ことで安心できることも多いですが、
少しでも迷うときは、写真を撮って医師に見せるのが確実です。


まとめ

  • 赤いあざは血管の変化によるものが多く、ほとんどは自然に薄くなります。
  • ただし、一部は治療や定期的な経過観察が必要です。
  • 「急に大きくなった」「機能に関わる部位」は早めに受診を。
  • 写真を撮って記録しておくと経過がわかりやすく、診察時にとても有効です。