赤ちゃんの“あざ”これって大丈夫?―茶色いあざ編

赤ちゃんの“あざ”これって大丈夫?―茶色いあざ編

はじめに

赤ちゃんの肌に、うっすら茶色いしみやほくろのようなあざを見つけて、
「生まれつきのもの?」「病気のサイン?」と不安に思う方も多いと思います。

実は、茶色いあざの多くは生まれつきの色素細胞(メラノサイト)の分布によるもので、
赤ちゃんの発達過程で自然にできた“体質的なあざ”です。
多くは健康にまったく問題ありません。

一方で、数が多かったり、大きさや出る場所に特徴がある場合には、
まれに遺伝的な背景や他の病気が関係することもあります。

今回は「茶色いあざ」について、
自然に経過を見るだけでよいものと、医療機関に相談すべきものを
小児科専門医の立場からやさしく、ていねいに解説します。


☕ カフェオレ斑

名前の通り、カフェオレのような薄茶色をした平らなあざです。

  • 生まれたときから、または乳児期に見られます。
  • 境界がくっきりしており、表面はなめらか。
  • 顔、体幹(胸や背中)、腕、脚など全身どこにでも出る可能性があります。
  • 痛みやかゆみはなく、自然に消えることはまれです。

1〜2個のカフェオレ斑はよくあるもので、心配はいりません
しかし、次のような場合は注意が必要です。

  • 直径5mm以上のカフェオレ斑が6個以上ある(思春期では15mm以上が目安)
  • 脇の下や足のつけ根にもそばかすのような小さな斑点がある
  • 家族にも同じようなあざがある

このようなときには、神経線維腫症(レックリングハウゼン病)の可能性があります。
神経線維腫症は、神経の周囲に小さな良性腫瘍ができやすくなる遺伝性の病気です。
親から子へ遺伝することがあり(50%程度)、家族にも似たあざがある場合は注意が必要です。
ただし、家族に同じあざがない場合でも半数近くは新たに発生するタイプ(孤発例)**です。

👉 数が少なければ心配いりませんが、多い・広がる・家族にもあるときは相談を。


🟤 母斑細胞母斑(いわゆる「ほくろ」)

赤ちゃんにも、生まれつきのほくろ(母斑)が見られることがあります。

  • 茶色〜黒色で、平らまたは少し盛り上がっている。
  • 顔、首、背中、腕、脚などあらゆる場所に出る。
  • 成長とともにゆっくり大きくなることがある。
  • 毛が生えているタイプもあり、これは正常な範囲です。

多くは良性ですが、次のような変化がある場合は皮膚科での診察を。

  • 急に大きくなった
  • 色にムラが出てきた
  • 境界がぼやけてきた
  • 出血やかゆみがある

母斑細胞母斑は基本的に遺伝しません
ただし、家族に似たほくろが多い場合、「色素細胞ができやすい体質」が関係していることもあります。

👉 変化がなければ心配不要。変化を感じたらスマホで撮影し経過を残しておきましょう。


🐻 先天性巨大色素性母斑

生まれたときから見られる、10cm以上の大きな茶色〜黒色のあざです。

  • 背中・お尻・腹部・腕・脚などに出やすい。
  • 小さな“衛星母斑(周囲にできる小さなあざ)”を伴うことがある。
  • 成長とともに体の成長に合わせて大きくなっていく。

多くは良性ですが、まれに悪性黒色腫(皮膚がん)に変化することがあるため、
定期的な皮膚科でのフォローアップが大切です。
必要に応じてレーザー治療や手術を検討することもあります。

また、これも多くは遺伝しませんが、
家族にも似た大きなあざがある場合は、遺伝的な背景を含めて確認されることがあります。

👉 広範囲のあざは、見た目が変わらなくても一度は皮膚科でチェックを。


🩺 受診の目安

茶色いあざのほとんどは自然に経過を見てよいものですが、
次のような場合は一度相談してみましょう。

  • あざの数が多い、または全身に分布している
  • 急に大きくなった・形が変化した
  • 出血やかゆみがある
  • 家族にも似たあざがある
  • 脇や足のつけ根にそばかすのような小さな斑点がある

👉 家族にも同じようなあざがある場合は、体質や遺伝の関係があるかもしれません。
 一度確認しておくと安心です。


🔍 ご家庭で確認する際のポイント

この記事では個人情報や著作権の関係から、実際の写真は掲載していません。
「これかな?」と思うあざがあれば、
ぜひ病名(例:カフェオレ斑、母斑細胞母斑、先天性巨大色素性母斑など)をGoogle画像検索で調べ、
お子さんのあざと色・形・場所を照らし合わせて確認してみてください。

👉 実際に見比べてみることで安心できることもありますが、
少しでも迷うときは写真を撮って、小児科や皮膚科で相談するのが確実です。


🤎 小児科専門医からのまとめ

  • 茶色いあざは、ほとんどが良性で体質的なもの。
  • 一部には遺伝性の病気が関わるもの(例:神経線維腫症)もあります。
  • 数が多い・大きい・形が変化する・家族にも同様のあざがある場合は要相談。
  • 写真で経過を残すことで、変化を見逃さず安心して経過を見られます。

👉 「このあざ、放っておいていいのかな?」と悩むときのヒントにしてください。