腹痛+皮疹は要注意!― 子どもの病気「IgA血管炎」について小児科専門医が解説

腹痛+皮疹は要注意!― 子どもの病気「IgA血管炎」について小児科専門医が解説

はじめに

「お腹が痛いと言っている」
「足に紫色のぶつぶつが出てきた」

この2つが同時に起きているとき、
小児科医として必ず頭に浮かべる病気があります。

それが IgA血管炎(アイジーエーけっかんえん) です。

聞き慣れない名前で不安になる親御さんも多いと思いますが、
正しく知って、きちんとフォローすれば
多くのお子さんは元気に回復します

この記事では、
「いま何が起きているのか」
「どこに注意すればいいのか」
を、親御さん目線で整理します。


IgA血管炎ってどんな病気?

IgA血管炎は、子どもに多い血管炎のひとつです。
以前は「紫斑病(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)」と呼ばれていました。

体の中の細い血管に炎症が起こり、
皮膚・関節・お腹・腎臓などに症状が出ます。

👉 かぜなどの感染症のあとに発症することが多く、うつる病気ではありません


見逃してはいけない「3つの症状」

IgA血管炎には、特徴的な三主徴があります。

① 皮疹(紫斑)

  • 足やお尻に出やすい
  • 押しても消えない紫色のぶつぶつ
  • 左右対称に出ることが多い

👉 虫刺されやあざと間違われることもありますが、押しても色が消えないのがポイントです。


② 腹痛

  • 急に強い腹痛を訴えることがある
  • 嘔吐や血便を伴うことも
  • 痛みで動けなくなることもある

👉 腹痛+紫斑の組み合わせは、IgA血管炎を強く疑います。


③ 関節痛

  • 膝や足首が多い
  • 腫れや痛みで歩きたがらない
  • 数日で自然に良くなることが多い

👉 成長痛とは違い、急に痛みが出るのが特徴です。


なぜ起こるの?

IgA血管炎では、
IgA(免疫の一種)を含む免疫複合体が血管に沈着し、
炎症を起こすと考えられています。

特に小児では、

  • 感染症のあと
  • 免疫反応が一時的に強くなったとき

に起こりやすいことが分かっています。

👉 親の育て方や生活習慣が原因ではありません。


一番大切な合併症― 腎臓への影響(紫斑病性腎炎)

IgA血管炎で最も注意すべきポイントが、
腎臓の合併症です。

どれくらい起こる?

  • 30% のお子さんで
    血尿や蛋白尿がみられます

いつ出る?

  • 多くは 発症から4〜6週以内
  • 見た目が元気でも、尿に異常が出ることがあります

👉 症状が落ち着いたあとが本番とも言えます。


どんな検査が必要?

  • 尿検査(血尿・蛋白尿)
  • 血圧測定

初診時に問題がなくても、
6か月〜1年程度は定期的な尿チェックが推奨されています。

👉 「紫斑が消えたから終わり」ではありません。


治療はどうするの?

軽症の場合

  • 安静
  • 痛み止めなどの対症療法
  • 多くは自然に改善します

症状が強い場合

  • 強い腹痛 → ステロイド治療
  • 腎臓に異常 → 状態に応じて専門的治療

腎炎を予防する目的でステロイドを使うことは推奨されていません


家庭で気をつけてほしいこと

  • 紫斑が出たら写真を撮っておく
  • 腹痛・血便・むくみがあればすぐ受診
  • 元気でも、指示された尿検査は必ず受ける
  • 自己判断で通院をやめない

👉 「念のため受診」で大丈夫です。


まとめ

  • 腹痛+皮疹は IgA血管炎の重要なサイン
  • 多くは自然に良くなるが、腎臓のフォローがとても大切
  • 定期的な尿検査が、お子さんの将来を守ります

👉 不安なことがあれば、遠慮なく小児科で相談してください。