母乳・ミルクを飲まない赤ちゃん― 小児科専門医が教える見守り方と受診の目安

母乳・ミルクを飲まない赤ちゃん― 小児科専門医が教える見守り方と受診の目安

はじめに

母乳やミルクをあまり飲まない赤ちゃんを前にすると、
「この量で足りているのかな」
「体重はちゃんと増えているのかな」
と、不安になる方はとても多いです。

実際、小児科外来でも
「飲む量が少ない気がして…」
という相談は、乳児期に最もよくあるもののひとつです。

この記事では、母乳・ミルクを飲まない赤ちゃんを前にしたとき、何を心配して、何を見守ってよいのか
そしてどんなときに受診を考えるべきかを、
小児科専門医の視点でわかりやすく整理していきます。


乳児期の栄養問題の特徴

乳児期は、人生の中でもとくに特殊な時期です。

  • 栄養摂取は母乳・ミルクのみ
  • 赤ちゃん自身は量を調整できない
  • 栄養状態は養育者の関わり方に強く依存

つまり乳児の栄養問題は、
赤ちゃん本人だけの問題ではなく、環境や関わり方も含めて考える必要があるという特徴があります。

👉「飲まない=赤ちゃんの問題」と決めつけないことが大切です。


「飲まない」と感じたときにまず見るべきこと

多くの親御さんは、
「〇mL飲んだ/飲まなかった」
というに目が向きがちです。

しかし、小児科医がまず重視するのは量そのものではありません

最も大切なのは体重の増え方

  • 体重が成長曲線に沿って増えているか
  • 曲線の傾きが極端にずれていないか

体重は、乳児期において
もっとも鋭敏な栄養評価指標です。

👉 飲む量より「体重がどう増えているか」を見ます。


母乳・ミルクを飲まない原因の考え方

赤ちゃんが飲まないとき、栄養の流れをイメージすると整理しやすくなります。

考えるべき4つの視点

  1. 摂取量が少ない
     飲む回数・量が物理的に少ない
  2. 代謝が高い
     発熱・感染症などで消費が増えている
  3. 活動量が多い
     よく動き、エネルギー消費が多い
  4. 漏れ・吸収不良がある
     吐き戻し、下痢など

「どこで栄養が足りなくなっているのか」を
順番に考えることが大切です。

👉 原因を分解すると、必要以上に不安にならずにすみます。


「飲まない=すぐ異常」ではありません

乳児期には、次のような理由で
一時的に飲む量が減ることがあります。

  • 成長に伴うペースの変化
  • 授乳間隔の調整期
  • 周囲の刺激が増えた
  • 眠気や気分のムラ

体重増加が保たれていて、
元気・尿量が保たれていれば、
経過を見守ってよいケースも多いのが実際です。

👉 「飲まない期間=すべて危険」ではありません。


見守ってよいサイン

次のような場合は、慌てすぎなくて大丈夫なことが多いです。

  • 体重が成長曲線に沿って増えている
  • 機嫌がよく、活気がある
  • 尿量が保たれている
  • 授乳以外の時間は普段通り過ごせている

👉 赤ちゃん全体の様子をセットで見ましょう。


受診を考えたいサイン

一方で、次のような場合は、
一度小児科での相談をおすすめします。

  • 体重増加が明らかに乏しい
  • 体重の増え方が成長曲線から外れてきた
  • 哺乳を強く嫌がり続ける
  • 元気がなく、尿量が減っている
  • 嘔吐や下痢が続いている

とくに、
体重の増え方が成長曲線から外れてきた場合は、
早めに小児科で相談することが大切です

👉 数値をひとりで判断しようとしなくて大丈夫です。


親の不安も「評価の対象」です

乳児の栄養問題では、
親御さんの不安や疲労も重要なポイントです。

知識やスキルがあっても、
不安や精神的な余裕がなくなると、
柔軟な対応が難しくなることがあります。

「自分が悪いのでは」と抱え込まず、
不安そのものを相談しても大丈夫です。

👉 育児はスキル×メンタルの掛け算です。


まとめ

  • 乳児期の「飲まない」はよくある相談
  • 判断の軸は飲む量より体重増加
  • 見守ってよいケースも多い
  • 成長曲線から外れてきたら早めに相談
  • 親の不安も大切なサイン

母乳・ミルクを飲まない赤ちゃんを前にして不安になるのは、
それだけ赤ちゃんのことを大切に思っている証拠です。

👉 困ったときは、ひとりで抱え込まず、ぜひ小児科に相談してください。