幼児期のタブレット使用と癇癪の関係― 最新の研究データを小児科専門医が解説!

幼児期のタブレット使用と癇癪の関係― 最新の研究データを小児科専門医が解説!

「タブレットをやめさせると癇癪がひどい」
「動画を見せていないと家事が進まない」

こうした悩みは、今や多くの家庭で共通しています。
スマホやタブレットは、忙しい育児の中でどうしても頼りたくなる存在です。

一方で、
「使わせすぎると良くない気がする」
「でも、どのくらい影響があるのかは分からない」
と感じている親御さんも多いのではないでしょうか。

今回は、幼児期のタブレット使用と“癇癪(怒り・フラストレーション)”の関係を、
最新の研究データをもとに分かりやすく解説します。

👉 タブレットに悩む親御さんにとって、判断のヒントになる研究です。


今回紹介する研究について

この研究の最大の特徴は、
同じ子どもを3年間追いかけて調べている点です。

対象となった子どもたち

  • カナダ在住の就学前の子ども 315人
  • 調査時の年齢は
    • 3.5歳
    • 4.5歳
    • 5.5歳

調べた内容

  • 1日のタブレット使用時間(保護者の申告)
  • 怒り・フラストレーションの出やすさ
    (癇癪やイライラの強さを質問票で評価)

この研究では、
「タブレットを使うから癇癪が増えるのか」
「癇癪があるからタブレットが増えるのか」
どちらが先かを統計的に分析しています。

👉 単なる「関連」ではなく、時間の流れを見ている点が重要です。


結果①:タブレット使用が多いと、翌年の癇癪が増えやすい

まず分かったのは、
タブレット使用が先に増え、その後に癇癪が増えるという関係です。

 3.5歳時点でタブレット使用が多い子どもほど

4.5歳時点の怒り・フラストレーションが有意に増加

数字で見ると

  • タブレット使用が
    1SD増加(約1.15時間/日 増える)
  • 翌年の怒り・フラストレーションが
    22%SD分増加

つまり、
「1日1時間ちょっとタブレットを使用する時間が増えるだけでも、癇癪が出やすくなる傾向があった」
という結果です。

👉 幼児期の感情の育ちに、タブレット時間は影響しうることが示されました。


結果②:癇癪が強い子ほど、タブレット時間が増えていく

次に示されたのは、逆方向の流れです。

 4.5歳で癇癪が強かった子どもは

5.5歳でタブレット使用時間が増えていました

こちらも、

  • 怒り・フラストレーションが 22%SD増える
  • タブレット使用時間が 有意に増加

これはつまり、

癇癪がある
→ 落ち着かせるためにタブレットを使う
→ 使用時間が増える

という、多くの家庭で起きていそうな現実的な流れです。

👉 親御さんの対応が悪い、という話ではありません。


見えてきたのは「タブレットと癇癪の悪循環」

この研究の最も重要なポイントは、
タブレットと癇癪が双方向に影響し合っていることです。

  • タブレット使用が増える
  • 癇癪が増える
  • 癇癪対策としてタブレットを使う
  • さらに使用時間が増える

こうした悪循環が、
3〜5歳という感情調整能力が育つ時期に起きやすい可能性が示されました。

👉 「画面で気持ちを切り替える」経験が増えすぎる点が問題になりやすいのです。


「タブレットは悪者」ではありません

ここで大切なのは、
決してそのものを否定する研究ではないという点です。

この研究では、

  • 見ている内容
  • 親と一緒に見ているか
  • 使う場面

までは評価されていません。

問題になりやすいのは、
癇癪への対応がタブレット一択になってしまうことです。

👉 タブレットは「使い方」がすべてです。


今日からできる、現実的な関わり方

研究結果をふまえて、
親御さんに意識してほしいポイントをまとめます。

① 癇癪=即タブレット、にしない

抱っこ、声かけ、場所を変えるなど、
他の方法を一度は試すことが大切です。

👉 「自分で気持ちを切り替える経験」を奪わないことがポイントです。


② 終わりをあらかじめ伝える

「いつ終わるか分からない」ことは、癇癪を強めます。
「あと○分」「ここまで見たら終わり」と伝えましょう。

👉 終わりが見えるだけで、切り替えは楽になります。


③ 一緒に見る・話す

一人で見せっぱなしにせず、
「これなに?」「面白いね」と関わりを持ちましょう。

👉 受動的な視聴を、親子のやりとりに変える意識が大切です。


まとめ

  • 幼児期(3〜5歳)のタブレット使用は
    癇癪・怒りの増加と関連
  • 癇癪があるほど、
    さらにタブレット使用が増えるという双方向の関係
  • 大切なのは
    使わせるかどうかではなく、なぜ使っているか

👉 「困ったら画面」だけにしないことが、感情の育ちを守ります。