目次
はじめに
川崎病は、診断がついたらできるだけ早く治療を始めることが大切です。
治療の中心になるのは IVIG(免疫グロブリン療法)とアスピリン の2つ。
この記事では、
「IVIGって何?」「アスピリンは何のため?」「副作用は?」
といった疑問を、小児科専門医としてわかりやすく解説します。
👉 治療の仕組みを知っておくと、入院中の不安は大きく減ります。
1.なぜ“早期治療”が大切なのか
川崎病の炎症が進むと、心臓の血管(冠動脈)が傷つくことがあります。
それを防ぐために、炎症が強まる前に治療することが最も重要です。
👉 詳しくは前回までの記事で解説済みのため、ここでは要点だけ。🔗過去の記事はこちら
2.IVIG(免疫グロブリン大量療法)とは?
IVIGは、川崎病治療の中心となる点滴治療です。
免疫グロブリンは、
多くの人の血液から抽出した“抗体の集合体”=血液製剤
であり、
他の人の健康な抗体を体に入れてもらう治療という点で
“輸血に近いイメージ” がわかりやすいと思います。
- 高度に精製され、安全性が高い
- 抗体そのものにより、炎症を強く抑える力がある
- 生物学的製剤に分類される
IVIGは身体で何をしているのか?
IVIGの役割は、非常にシンプルに言うと
「暴走している炎症を一気に静める治療」
です。
- 血管で起こっている炎症を抑える
- 心臓の冠動脈を守る
- 多くの場合、投与後24〜48時間以内に熱が下がる
👉 IVIGは川崎病治療の“決め手”になる治療です。
点滴を“半日〜1日かけてゆっくり行う”理由
IVIGは生物由来の製剤であるため、
急に点滴するとまれに
- 頭痛
- 発熱
- アレルギー症状
- 血圧の変動
などの副反応が出ることがあります。
そのため点滴は、
▶ 10〜12時間(長いと1日)かけてゆっくり投与
します。
これは危険だから長いのではなく、
身体に負担をかけず安全に投与するための配慮です。
IVIG投与後は、生ワクチンが6か月間接種できない
これは重要ポイントです。
- IVIGには多量の抗体が含まれている
- 生ワクチンを打つとIVIG内の抗体がワクチンを中和してしまい、効きにくくなる
そのため、
IVIG後は6か月間、生ワクチン(麻疹・風疹・水痘・BCGなど)は接種できない
👉 予防接種のスケジュールは必ず主治医と相談しましょう。
3.アスピリンの役割 ― “量によって効果が変わる薬”
アスピリンは、量によって働きが変わる特徴を持っています。
これが、川崎病で2段階の使い方をする理由です。
①(急性期)炎症を抑える:中等量アスピリン
発熱が続く急性期は、
炎症そのものを抑える量のアスピリンを使用します。
- 体の中で起こる“炎症の火”をしずめる目的
- IVIGと一緒に初期治療として行う
②(解熱後)血栓を防ぐ:低用量アスピリン
熱が下がった後は 少ない量のアスピリンに切り替えます。
これは、
- 川崎病では解熱後もしばらく血が固まりやすい状態(血小板活性化)が続く
- そのため 6〜8週間の低用量アスピリンの継続が推奨される
とされています。
低用量アスピリンの目的は「冠動脈に血栓ができるのを防ぐこと」
- 血小板の働きを抑え、血栓を作りにくくする
- “心臓の血管が詰まるリスク”を下げる役割
👉 量で役割が変わるからこそ、急性期と解熱後で使い方が違う薬です。
4.不全型でも治療内容は同じ
症状が揃わない“不全型川崎病”でも、
冠動脈に炎症がおよぶリスクは典型例と同じです。
そのため、
典型でも不全型でも治療内容は同じ
となります。
まとめ
- 川崎病の治療は IVIG+アスピリン が基本
- IVIGは生物学的製剤で、輸血に近い“抗体をもらう治療”
- 副作用を防ぐため、半日〜1日かけてゆっくり点滴
- 投与後6か月間は生ワクチンが受けられない
- アスピリンは量によって作用が変わる薬
(急性期→炎症を抑える、解熱後→血栓を防ぐ) - 不全型でも治療内容は変わらない
- 早期治療が冠動脈の安全につながる
👉 次回は、IVIGだけでは治りきらない「難治例」に対して行う追加治療について解説します。

