目次
- はじめに
- 1.川崎病フォローの中心は“冠動脈”にあります
- 2.冠動脈はどの期間が最も注意?
- 3.z-scoreでフォロー期間が決まる
- 4.フォローアップの流れ
- 🟢 ① 冠動脈が正常( z-score<2.5)
- 🟡 ② 軽度の拡大(小瘤: z-score 2.5〜5)
- 🟠 ③ 中等度の拡大( z-score 5〜10)
- 🔴 ④ 大きな拡大・大型瘤( z-score≥10 または径8mm以上)
- 5.生活で気をつけること
- ① 発熱した時の注意点
- ② 運動の目安(冠動脈所見で変わります!)
- ③ 幼稚園・保育園はいつから?
- ④ ワクチンはいつから再開?
- ⑤ 兄弟にうつる?
- ⑥ 再発の可能性
- 6.まとめ(箇条書き)
はじめに
川崎病は、入院中の治療が終わって退院すると
「もう大丈夫?」
「いつまでフォローが必要なの?」
「日常生活は普通に戻っていいの?」
など、多くの心配が出てきます。
これまでの記事でも説明したとおり、川崎病の退院後に一番大切なのは
“冠動脈(心臓の血管)が今どうなっているか” をしっかり確認すること。
治療がうまくいけば問題なく回復することがほとんどですが、
冠動脈の状態に合わせてフォローの期間や生活の注意点が変わります。
この記事では、
フォローの目的・期間・注意点・退院後の過ごし方 をすべて網羅して、
親御さん向けにわかりやすくまとめました。
1.川崎病フォローの中心は“冠動脈”にあります
川崎病は 血管の炎症(血管炎) の病気。
その中でも特に影響を受けやすいのが 心臓の冠動脈 です。
冠動脈に強い炎症が起こると、
- 太くなる(拡大)
- こぶのように膨らむ(冠動脈瘤)
- 血の流れが悪くなる
といった変化が起きる可能性があります。
そのため退院後も、
“冠動脈がどのくらい元に戻っているのか”
を確認するために心エコー(超音波検査)を続けていきます。
2.冠動脈はどの期間が最も注意?
冠動脈は 発症後2〜4週間が一番変化しやすい時期 です。
- 発症後1〜2週:太さが最大になりやすい
- 発症後3〜4週:改善が始まる
- その後数か月〜1年かけてゆっくり元に戻る
👉 退院後1〜2か月が特に大事
この期間はエコーの間隔が短くなることがあります。
3.z-scoreでフォロー期間が決まる
冠動脈の評価には、 z-scoreという指標を使います。
体格に応じて冠動脈が太めかどうかを判断する数値です。
| 分類 | z-score | フォロー期間の目安 |
|---|---|---|
| 正常 | <2.5 | 6〜8週で終了 |
| 小瘤 | 2.5〜5 | 数か月〜1年 |
| 中等度 | 5〜10 | 1〜数年 |
| 巨大瘤 | ≥10 または 8mm以上 | 長期(生涯) |
これによって「何回エコーが必要か」「生活の制限はあるか」が変わります。
4.フォローアップの流れ
🟢 ① 冠動脈が正常( z-score<2.5)
- 発症から6〜8週でエコー
- そこで問題なければ フォロー終了
🟡 ② 軽度の拡大(小瘤: z-score 2.5〜5)
- 3か月・6か月・1年と定期エコー
- 多くは1年以内に元に戻る
🟠 ③ 中等度の拡大( z-score 5〜10)
- 1〜数年フォロー
- 心電図・負荷検査を行うこともある
🔴 ④ 大きな拡大・大型瘤( z-score≥10 または径8mm以上)
- 小児循環器医による長期フォロー
- 必要に応じて抗凝固薬(ワーファリンなど)
- 定期的なエコー・CT・MRI・負荷試験
👉 施設によっては冠動脈が正常でも長期的なフォローアップを行うところもあります。
5.生活で気をつけること
① 発熱した時の注意点
退院後もしばらくは体調を崩すことがあります。
ただし以下の場合は早めに受診を:
- 発熱が長引く
- ぐったりしている
- 発熱はあるが咳、鼻水がない
- 解熱してもまた上がる
再燃は約3%でまれですが、
念のため心エコーが必要になることがあります。
② 運動の目安(冠動脈所見で変わります!)
● 異常なし~軽度拡張
→ 運動制限なし
激しい運動も多くは問題なし。
● 中等度以上
→ 激しい運動(持久走・強度の高い球技など)を制限する場合あり。
→ “運動禁止”ではなく 安全な範囲で調整 する考え方。
● 抗凝固薬使用中
→ 転倒・衝突の多いスポーツは避けることがある。
③ 幼稚園・保育園はいつから?
- 冠動脈に異常がなければ 退院後すぐ〜数日で復帰可能
- 体力が戻るまでは無理をしない
- 中等度以上の場合は活動量に応じて主治医が判断
④ ワクチンはいつから再開?
- 生ワクチン(麻しん風しん、水痘)→ IVIG(免疫グロブリン)後6か月以上あける
- 不活化ワクチン → すぐ再開OK
冠動脈の状態とは関係なく、
IVIGの影響で生ワクチンだけ期間が空きます。
⑤ 兄弟にうつる?
川崎病はうつりません。
感染症ではないため、家族に広がる心配は不要です。
- 隔離必要なし
- 家庭内で通常通り過ごしてOK
⑥ 再発の可能性
- 再発率は 約3%
- まれだがゼロではない
- 再発しても治療内容は同じで、予後は良い
6.まとめ(箇条書き)
- 川崎病のフォローの中心は“冠動脈”
- 冠動脈の変化は発症後2〜4週がピーク
- 冠動脈の所見によりフォローアップの期間が伸びる。
- 冠動脈が正常〜軽度なら生活制限なし
- 運動制限が必要なのは“中等度以上”のみ
- 生ワクチンはIVIG後6か月空ける
- 兄弟にうつることはない
- 再発は3%
👉 川崎病は正しくフォローすれば、ほとんどの子が日常生活を問題なく送れるようになります。

