子どものアレルギー性鼻炎と副鼻腔炎― ずっと続く鼻水の正体を小児科専門医が解説

子どものアレルギー性鼻炎と副鼻腔炎― ずっと続く鼻水の正体を小児科専門医が解説

「また鼻水…」が何週間も続く理由

子どもはよく鼻水を出します。
特に園や学校に通っていると、風邪をもらう機会も多く、

  • 良くなったと思ったらまた鼻水
  • 透明だった鼻水が、いつの間にか治らない
  • 鼻水が減ったと思ったら今度は咳が出る

こうした経過をたどることは珍しくありません。

ただ、2週間以上続く鼻水や、
「良くなりきらない状態が続く鼻水」には、
風邪以外の原因が隠れていることがあります。

その代表が
アレルギー性鼻炎副鼻腔炎です。

👉「長引く」という点が、見極めのいちばんのヒントです。


アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、大人だけの病気ではありません。
最近では、乳幼児期から症状が始まる子どもも増えています

どんな症状?

  • 透明でサラサラした鼻水
  • くしゃみ
  • 慢性的な鼻づまり

これらが

  • 季節を問わず続く
  • 毎年同じ時期に繰り返す

場合、アレルギー性鼻炎を疑います。

原因として多いのは

  • ダニ
  • ハウスダスト
  • 花粉

など、生活環境と深く関係するものです。

👉「体質だから仕方ない」で終わらせないことが大切です。


アレルギー性鼻炎の治療の考え方

治療の目的は、
鼻水をゼロにすることではなく、生活に支障が出ない状態を保つことです。

眠れる、集中できる、日中元気に過ごせる。
その状態を目指して治療を組み立てます。

👉 治療は「症状のコントロール」がゴールです。


よく使われる内服薬・点鼻薬

症状のタイプや年齢に応じて、以下の薬を使い分けます。

抗ヒスタミン薬

くしゃみ・鼻水を抑える薬です。
眠くなりにくいものが主に使われます。

  • フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ®)
  • ロラタジン(クラリチン®)
  • セチリジン塩酸塩(ジルテック®)
  • レボセチリジン塩酸塩(ザイザル®)

抗ロイコトリエン薬

鼻づまりが強いタイプに効果が期待できます。

  • モンテルカストナトリウム(シングレア®/キプレス®)
  • プランルカスト水和物(オノン®)

鼻噴霧用ステロイド薬

鼻の中の炎症を直接抑える薬で、効果が高いのが特徴です。

  • フルチカゾンフランカルボン酸エステル(アラミスト®)
  • モメタゾンフランカルボン酸エステル(ナゾネックス®)
  • フルチカゾンプロピオン酸エステル(フルナーゼ®)

全身への影響はほとんどなく、
正しく使えば安全性の高い薬です。

👉 点鼻薬=強い薬、というイメージは誤解です。


②副鼻腔炎

副鼻腔炎は、
風邪をきっかけに鼻の奥(副鼻腔)で炎症が続く病気です。

子どもは

  • 副鼻腔が未発達
  • 鼻腔が狭い
  • 鼻をうまくかめない

といった特徴があり、
鼻水がたまりやすく、炎症が長引きやすい傾向があります。

鼻の奥の炎症のため、頭痛口が臭くなるといった症状を認める事もあります。

👉 副鼻腔炎は「風邪の延長線上」で起こることが多い病気です。


副鼻腔炎=すぐ抗菌薬、ではありません

副鼻腔炎と聞くと
「抗菌薬を長く飲む病気」という印象を持たれがちですが、
必ずしもそうではありません。

軽症の場合

  • 元気がある
  • 発熱や強い痛みがない

この場合は
抗菌薬を使わず、まず経過観察することも多くあります。

👉 ウイルスが原因なら、抗菌薬は効きません。


抗菌薬を使うのはどんなとき?

  • 黄色〜緑色の鼻水が続く
  • 鼻づまりが強い
  • 咳が長引く
  • 全身状態が悪い

こうした場合に、抗菌薬を検討します。

よく使われる抗菌薬

  • アモキシシリン(サワシリン®)
  • アモキシシリン/クラブラン酸(クラバモックス®)

基本は**短期間(5日程度)**で、
効果を見ながら調整します。

👉「とりあえず長く飲む」は基本ではありません。


少量マクロライド療法とは?

副鼻腔炎が

  • 何度も繰り返す
  • 鼻水や咳が何か月も続く

場合、慢性副鼻腔炎として治療を考えることがあります。

その際に使われるのが、
マクロライド系抗菌薬の少量長期療法です。

  • クラリスロマイシン(クラリス®)
  • エリスロマイシン(エリスロシン®)

これは

  • 細菌を強く殺す目的ではなく
  • 炎症を抑える作用を期待して使う治療

で、効果がなければ中止します。

👉 万能な治療ではなく、選ばれた場合のみ使われます。


副鼻腔炎でとても大切なこと

副鼻腔炎の治療で欠かせないのが、
鼻の中をきれいにすることです。

  • 鼻吸引
  • ネブライザー治療
  • 通気を良くする処置

これだけで、
抗菌薬なしでも改善する子も少なくありません。

👉 薬より「鼻水を外に出す」ことが重要な場合があります。


まとめ

ずっと続く鼻水の背景には、
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が隠れていることがあります。

  • アレルギー性鼻炎は、症状に合わせた内服・点鼻でコントロール
  • 副鼻腔炎は、必要な場合のみ抗菌薬
  • 鼻の処置が症状改善のカギ

この3点を押さえるだけでも、
子どもの鼻のトラブルは大きく変わります。

👉 鼻が楽になると、子どもの毎日も確実に楽になります。