子どもの成長を考えるとき、「自信(self-competence)」はとても大切なキーワードです。
学業や友人関係はもちろん、将来の仕事へのモチベーションや主体性にもつながります。
今回は、幼稚園のころに家事をしていた子どもは、その後の学力や社会性、自信が高いという興味深い研究をご紹介します。
「家事=ただのお手伝い」ではなく、子どもの成長にとって大きな価値を持つことが見えてきます。
目次
1. 研究の概要:どんな子どもを調べたの?
アメリカの「Early Childhood Longitudinal Study」をもとに、
2010〜2011年に幼稚園へ入学した 9,971人の子ども が対象となりました。
調査内容は以下のとおりです。
■幼稚園(Kindergarten)
- 親御さんに「お子さんがどれくらい家事をしているか」を質問
■小学3年生
- 子ども自身が学業・友人関係・社会性・生活満足度などを自己評価
- 読解・算数・理科の学力テストも実施
また、性別・家計収入・親の学歴などで補正して
“家事そのものが成長にどう関わるか”が丁寧に分析されています。
👉 約1万人という大規模研究で、信頼性の高いデータです。
2. 結果①:家事をする子どもは“自信”が育つ
幼稚園期に家事をしていた子どもは、小学3年生になった際の
- 自己効力感(できると思える気持ち)
- 学業に対する自信
- 友人関係
- 生活満足度
が いずれも有意に高かった ことが分かりました。
一方で、家事をほとんどしていなかった子どもは、
これらのスコアで 最下位20%に入るリスクが高い という結果に。
具体的には、最下位群に入る可能性の高さ(オッズ比)は
- 向社会性:OR 1.17
- 学業の自己評価:OR 1.25
- 友人関係:OR 1.24
- 生活満足度:OR 1.27
となっており、「家事をしていない」こと自体が不利に働く可能性が示されています。
👉 家事は“自信の土台”を育てる、大切な家庭内経験です。
3. 結果②:家事と算数の成績に関係がある?
さらに興味深いことに、幼稚園期に家事をしていた子どもは
小学3年生で 算数の点数が高い 傾向も見られました。
たとえば、
- お皿やカトラリーの数を数える
- 洗濯物をたたむ順序を考える
- おもちゃや食材を分類する
といった日常の家事は、自然と「数・順序・分類」といった算数的な力を使う動作です。
生活と学びがつながっている良い例ですね。
👉 家事は生活力だけでなく、学力にも良い刺激を与えます。
4. なぜ家事が子どもの成長に良いの? 小児科医の視点
家事が子どもの発達に役立つ理由はいくつかあります。
①「自分にもできた!」という成功体験が積み重なる
➡ 自己効力感・自尊心が育つ
② 指示を聞く・順序を考える・やり遂げる
➡ 実行機能(注意力・計画性・集中力)が鍛えられる
③ 親と協力して作業する
➡ 社会性・コミュニケーション能力の向上
④ 毎日繰り返される
➡ 小さな達成経験が継続し、心が安定しやすい
“手伝い”ではなく、自立と成長のトレーニングと言っても過言ではありません。
👉 家事は心の育ち・脳の発達・家庭の役割意識をまとめて育てる万能教材。
5. 年齢別・今日からできる簡単な家事
できる・できないは家庭によって異なるので、無理のない範囲でOK。
■3〜4歳
- テーブルを拭く
- 洗濯物をカゴに入れる
- おもちゃの分類片付け
■5〜6歳
- 食卓にお皿を並べる
- 洗濯物をたたむ(簡単なもの)
- ゴミを集める
■小学生
- 自分の身の回りの片付け
- お風呂掃除
- 食器洗いの一部
- 簡単な料理の手伝い
大切なのは「できたね!」と認める声かけです。
完璧さよりも、役割を持つことに価値があります。
👉 家事は“親の仕事を奪う”のではなく、“子どもの育ちを助ける経験”になります。
6. まとめ
今回紹介した研究は、
- 家事をする子どもは
➡ 自信・学力・友人関係・生活満足度が高い - 家事をほとんどしない子は
➡ これらが低くなりやすい
という、家庭教育の大きなヒントを示してくれました。
家事は、負担ではなく“子どもの成長を助ける最高の教材”。
👉 今日から少しずつ、できる範囲で始めてみてくださいね。
参考文献
White EM, DeBoer MD, Scharf RJ. Associations Between Household Chores and Childhood Self-Competency. Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics. 2019;40(3):176–182.

