目次
はじめに
「予防接種って、本当に必要なんですか?」
小児科外来で、親御さんからとてもよく聞かれる質問です。
注射の回数は多いし、副反応も心配になりますよね。
「自然に病気にかかった方が、強い免疫がつくのでは?」
そんな疑問や不安を抱くのは、とても自然なことだと思います。
この記事では、予防接種が子どもの体の中で何をしているのか、
そしてどうやって感染症から守ってくれているのかを、
やさしく解説していきます。
👉「よく分からないから不安」を「知って納得」に変えることがこの記事の目的です。
そもそも感染症ってなに?
感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体の中に入り、症状を起こす病気のことです。
ただし、病原体が体に入ったからといって、
必ずしも全員が同じように発病するわけではありません。
発病するかどうかは、
- 病原体の強さ
- 体の抵抗力
このバランスによって決まります。
👉 つまり、体に「守る力」があれば、病気は防げる可能性があるのです。
体を守る「免疫」という仕組み
私たちの体には、生まれつき免疫という防御システムが備わっています。
免疫の働きは、大きく分けると次の流れです。
- 体に入ってきた異物(病原体)を見つける
- 「敵だ」と判断する
- 攻撃して排除する
- 次に同じ敵が来たときのために記憶する
この「記憶」があるおかげで、
一度かかった病気には二度かかりにくくなるのです。
👉 免疫は、体の中の「学習システム」とも言えます。
ワクチンは体に何をしているの?
ワクチンは、
病原体そのものではなく、
- 弱くしたもの
- 病気を起こさない形にしたもの
を使って作られています。
ワクチンを接種すると、体はこう反応します。
- 「これは敵かもしれない」と認識する
- 実際に病気になる前に対処法を覚える
- 本物が来たとき、すぐに対応できるようになる
つまりワクチンは、
**病気にかかる前に行う“免疫の予行演習”**です。
👉 病気そのもののリスクを負わずに、免疫だけを得る方法です。
予防接種をすると、なぜ重症化しにくい?
ワクチンで免疫がついていると、
病原体が体に入ってきても、
- すぐに免疫が反応する
- 病原体が増える前に抑えられる
ため、
発病しなかったり、症状が軽くすんだりします。
これは多くの感染症で確認されている効果です。
👉 予防接種は「完全に防ぐ」だけでなく「重くしない」役割もあります。
「自然にかかった方が強い免疫がつく」は本当?
確かに、麻しん(はしか)や風しんのように、
一度かかると一生免疫が続く病気もあります。
しかし、その免疫を得るためには、
- 高熱
- 重い合併症
- 命に関わるリスク
を実際に経験する必要があります。
予防接種は、
そうしたリスクを避けながら、
必要な免疫だけを安全に身につけるために作られました。
👉 「強い免疫」よりも「安全に得られる免疫」が大切です。
ワクチンの歴史が教えてくれること
世界で最初のワクチンは、
天然痘を防ぐために開発されました。
「牛痘にかかった人は天然痘にかからない」
という観察から生まれたこの方法は、
免疫の仕組みを利用した科学的な医療でした。
ワクチンは、
偶然ではなく、
多くの経験と検証を積み重ねて発展してきた医療です。
👉 長い歴史の中で「命を守る手段」として磨かれてきました。
予防接種は「社会」を守る医療でもある
予防接種の効果は、
接種した本人だけにとどまりません。
多くの人が免疫を持つことで、
- 病気が広がりにくくなる
- 流行そのものが起こりにくくなる
この状態を集団免疫と呼びます。
👉 ワクチンは、社会全体の安全を高める力を持っています。
ワクチンを打てない人を守るために
新生児や妊婦さん、持病のある方など、
ワクチンを受けたくても受けられない人がいます。
こうした人たちは、
周囲の人が免疫を持つことで、
はじめて感染症から守られます。
👉 予防接種は「自分のため」だけでなく「誰かのため」でもあります。
まとめ
- 予防接種は、病気にかかる前に免疫をつける方法
- 病気や重症化のリスクを減らす効果がある
- 免疫は体が学習し、次に備える仕組み
- ワクチンは安全に免疫を得るために作られている
- 集団免疫によって、社会全体が守られる
- ワクチンを打てない人を守る役割もある

