予防接種とアルミニウムの正しい知識― 親御さんの不安を小児科専門医が解消します!

予防接種とアルミニウムの正しい知識― 親御さんの不安を小児科専門医が解消します!

はじめに

予防接種について調べていると、
「アルミニウムは危険」「体にたまる」といった言葉を目にして、
かえって不安になってしまうことがあります。

最初は軽い疑問だったはずなのに、
いくつかの記事やSNSの投稿を読んでいるうちに、
「本当に大丈夫なのかな…」と気持ちが揺らいでしまう。
そんな経験をした親御さんも多いのではないでしょうか。

情報があふれている今、
どの情報が事実で、どこからが不安を煽る表現なのか
見分けるのは簡単ではありません。

この記事では、日本で実際に使われている予防接種の事実をもとに、
アルミニウムについての誤解や不安を、ひとつずつ整理していきます。

👉 情報が多い今こそ、落ち着いてシンプルに考えてみましょう。


アルミニウムアジュバントってなに?

まず知っておいてほしいのは、
アルミニウムは「混ざってしまっている成分」ではなく、
意図的に、役割をもって加えられている成分だということです。

ワクチンにはいくつか種類がありますが、
現在多く使われているのは、
病原体そのものではなく、必要な部分だけを取り出して作ったワクチンです。

こうしたワクチンは、

  • 病気になる心配がない
  • 副反応が比較的少ない

という大きなメリットがある一方で、
免疫がつきにくいという弱点があります。

そこで、免疫細胞に
「これは大事な情報だよ」
「しっかり覚えておいてね」
と伝える役割として使われるのが、アルミニウムアジュバントです。

👉 アルミニウムは、ワクチンの“効き目を支える存在”です。


日本の予防接種にもアルミニウムは使われている?

はい。日本で使われているワクチンの一部には含まれています。

特に、不活化ワクチントキソイド系ワクチンと呼ばれるものでは、
アルミニウムアジュバントが使われています。

アルミニウムが含まれる主なワクチン

  • 四種混合・五種混合ワクチン
  • B型肝炎ワクチン
  • 肺炎球菌ワクチン
  • HPV(子宮頸がん)ワクチン
  • 日本脳炎ワクチン(不活化)
  • 破傷風トキソイド

これらは、
乳幼児期にかかると重症化しやすい病気や、
将来の命に関わる病気を防ぐためのワクチンです。

アルミニウムは、
「できるだけ少ない回数で、確実に免疫をつける」
という目的のもとで選ばれています。

👉 便利だからではなく、必要性があって使われています。


アルミニウムが入っていないワクチンもある

一方で、
「じゃあ、アルミニウムが入っていないワクチンの方が安全なの?」
と感じる方もいるかもしれません。

ここで大切なのは、
入っている・入っていない=安全・危険ではないという点です。

アルミニウムが含まれていない代表例

  • MR(麻しん・風しん)ワクチン
  • 水痘ワクチン
  • ロタウイルスワクチン
  • BCG
  • インフルエンザワクチン
  • 新型コロナワクチン(mRNA)

これらのワクチンは、
ワクチンそのものが強く免疫を刺激する性質をもっているため、
アルミニウムアジュバントが必要ないのです。

👉 ワクチンごとに、最適な設計が選ばれています。


アルミニウムは体にたまらないの?

ここが、親御さんから一番多く寄せられる質問です。

「金属って、体に残るんじゃないの?」
「少しずつたまっていったらどうしよう…」

結論からお伝えすると、
ワクチンに含まれるアルミニウムが体にたまることはありません。

理由を順番に説明します。

① そもそも量がとても少ない

ワクチンに含まれるアルミニウムの量は、
母乳や粉ミルク、食事から自然に体に入る量よりも少ないレベルです。

私たちは、アルミニウムを
空気・水・食べ物を通して、毎日ごく自然に取り込んでいます。

② 一気に吸収されない

注射されたアルミニウムは、
筋肉の中でゆっくりと溶けながら体に吸収されます。

そのため、血液中のアルミニウム濃度が
急激に上がることはありません。

③ 体に入っても排泄される

吸収されたアルミニウムは、
腎臓から尿として排泄されます。

実際に、早産児を含む研究でも、
予防接種後に血液中のアルミニウムが増えたという報告はありません。

👉 「体に残り続ける」という心配は不要です。


自閉症・喘息・自己免疫疾患との関係は?

インターネット上では、
アルミニウムとさまざまな病気を結びつける情報を見かけることがあります。

とくに不安に感じやすいのが、

  • 自閉スペクトラム症
  • 喘息やアレルギー
  • 自己免疫疾患

との関係です。

これまでに、こうした関連が疑われたことはありますが、
多くの子どもを長期間追跡した大規模研究では、関係は否定されています。

参考文献:Andersson NW, Bech Svalgaard I, Hoffmann SS, Hviid A, et al. Aluminum-adsorbed vaccines and chronic diseases in childhood: a nationwide cohort study. Annals of Internal Medicine. 2025 Jul 15. doi:10.7326/ANNALS-25-00997.

一部の小規模な研究で弱い関連が示唆されたことはありますが、
より規模が大きく、信頼性の高い研究では再現されていません。

👉 現在の医学的な結論は「関連なし」です。


それでも不安になるのは、親として自然なこと

「もし何かあったらどうしよう」
「あとから後悔したくない」

そう思うのは、親としてとても自然な感情です。

ただ、ここで大切なのは、
確かな情報をもとに判断することです。

  • はっきりしているリスク:感染症にかかること
  • 証拠がないリスク:アルミニウムによる健康被害

予防接種で防げる病気の多くは、
乳幼児ほど重症化しやすく、
後遺症や命に関わることもあります。

👉 予防接種は「何もしないリスク」を減らす選択です。


まとめ

  • 日本の予防接種の一部にはアルミニウムアジュバントが使われている
  • 免疫をしっかりつけるために必要な成分
  • 量はごく少なく、体にたまらない
  • 自閉症・喘息・自己免疫疾患との関連は否定されている

不安をゼロにすることは難しくても、
正しい知識を知ることで、不安を解消できます。

気になることがあれば、
ぜひかかりつけの小児科で相談してください。

👉 一人で抱え込まず、医師と一緒に考えていきましょう。