ホットケーキでアナフィラキシー?― 「パンケーキ症候群」を小児科専門医が解説

ホットケーキでアナフィラキシー?― 「パンケーキ症候群」を小児科専門医が解説

はじめに

ホットケーキやお好み焼きは、子どもにとって身近で安心感のある食べ物です。
そのため、これらを食べたあとにじんましんや息苦しさが出ると、
「小麦アレルギーになってしまったのでは?」
と不安になる親御さんも少なくありません。

しかし実は、小麦が原因ではないアレルギーが隠れていることがあります。
それが「パンケーキ症候群」です。

👉 家で作った料理でも、思わぬアレルギーが起こることがあります。


パンケーキ症候群とは?

パンケーキ症候群は、正式には
経口ダニアナフィラキシー と呼ばれる病気です。

原因は、
長期間保存された小麦粉やホットケーキミックス、お好み焼き粉の中で繁殖した「ダニ」

その粉を使って調理し、
ダニの成分(アレルゲン)を一緒に食べてしまうことで、
**強いアレルギー反応(ときにアナフィラキシー)**が起こります。

👉 原因は食材ではなく「粉の中身」です。


なぜ「家で作った料理」で起こるの?

パンケーキ症候群の大きな特徴は、
外食ではほとんど起こらないことです。

飲食店では
・粉類を長期間放置しない
・保存管理が徹底されている
ため、ダニが繁殖する条件がそろいません。

一方、家庭では
・開封後の粉を常温で保存
・数か月〜それ以上使い続ける
といったことが起こりやすく、
その間に粉の中でダニが増えてしまうことがあります。

👉 「家庭用だからこそ」起こるアレルギーです。


小麦アレルギーとの違いがとても重要

パンケーキ症候群は、小麦アレルギーとは全く別の病気です。

  • 小麦そのものが原因ではない
  • 小麦をやめる必要はない
  • 同じ粉でも「新品」では症状が出ない

つまり、
誤って小麦を除去してしまうと、不要な食事制限につながってしまいます。

👉 正しい診断が、子どもの食事を守ります。


どんな子に起こりやすい?

パンケーキ症候群は、
もともとダニに対するアレルギーを持っている子に起こりやすいとされています。

たとえば

  • アレルギー性鼻炎(通年性)
  • 気管支喘息
  • ハウスダスト・ダニアレルギー

があるお子さんでは、注意が必要です。

👉 鼻炎や喘息のある子は、粉類の扱いも大切です。


症状はどんなもの?

食後まもなく、以下のような症状が出ることがあります。

  • じんましん、皮膚のかゆみ
  • 口・まぶた・顔の腫れ
  • 咳、息苦しさ、ゼーゼー
  • 嘔吐、腹痛
  • ぐったりする、元気がない

重症の場合は、アナフィラキシーに至ることもあります。

👉 「いつもと違う反応」は、迷わず受診を。


どうやって診断するの?

診断では、
**「何を食べたか」だけでなく「どう保存していたか」**が重要です。

  • 小麦アレルギーが否定される
  • ダニに対するIgE抗体が陽性
  • 問題となった粉と新品の粉で検査すると、
     使っていた粉だけが陽性になる

といった情報を総合して診断します。

👉 食事内容+保存状況が診断のカギです。


家庭でできる予防がいちばん大切

パンケーキ症候群は、
日常のちょっとした工夫で予防できるアレルギーです。

今日からできるポイント

  • 開封した粉は、できるだけ早く使い切る
  • 保存する場合は
     密閉容器+冷蔵庫保存
  • 常温で長期間放置しない

これだけで、リスクは大きく下げられます。

👉 粉類は「冷蔵庫」が基本です。


まとめ

  • パンケーキ症候群は、ダニが原因のアレルギー
  • 小麦アレルギーとは別の病気
  • 不要な小麦除去は必要ない
  • 保存方法の見直しが最大の予防策

👉 「家で作ったのに?」の裏に、原因が隠れていることがあります。