アナフィラキシーとは?― 命に関わる全身アレルギー反応を小児科専門医が解説

アナフィラキシーとは?― 命に関わる全身アレルギー反応を小児科専門医が解説

はじめに

食物アレルギーの話題の中で、
「一番気をつけなければならない状態は何ですか?」
と聞かれたとき、私が必ずお伝えするのがアナフィラキシーです。

アナフィラキシーは、じんましんだけの軽いアレルギー反応とは違い、
全身に急激な症状が広がり、命に関わることがある状態です。
正しく知っていれば防げる一方、
「知らなかった」「様子を見てしまった」ことで重症化するケースも少なくありません。

👉 知識があるかどうかが、子どもを守れるかどうかを分けます。


アナフィラキシーとは何か?

アナフィラキシーとは、


アレルゲン(原因物質)が体に入ることで、複数の臓器に全身性のアレルギー症状が急速に起こる反応

と定義されています。

皮膚だけでなく、呼吸・消化器・血圧や意識など、
複数の臓器に同時に症状が現れるのが特徴です。
さらに、血圧低下や意識障害を伴う場合は
アナフィラキシーショックと呼ばれ、特に危険な状態になります。

👉 「全身に起こる」「進行が早い」ことが最大の特徴です。


どうなったらアナフィラキシー?

医療現場では、次の3つのうちどれか1つでも満たす場合、
アナフィラキシーと判断します。

① 全身の皮膚・粘膜症状に加えて、
 呼吸症状(息苦しさ、ゼーゼー)や循環症状(血圧低下、意識障害)が出る場合。

② アレルゲン摂取後に、
 皮膚・呼吸・消化器・全身症状のうち2つ以上が急に出る場合。

③ アレルゲン摂取後に、
 急激な血圧低下やぐったりする様子がみられる場合。

特に大切なのは、
皮膚症状がなくてもアナフィラキシーは起こるという点です。

👉 「じんましんがない=安心」ではありません。


どんな症状が出る?

アナフィラキシーでは、次のような症状が組み合わさって現れます。

皮膚・粘膜
全身のじんましん、赤み、顔や唇の腫れ。

消化器
強い腹痛、繰り返す嘔吐、下痢。

呼吸器
咳が止まらない、ゼーゼーする、声がかすれる、息が苦しそう。

全身症状
ぐったりする、元気がなくなる、意識がもうろうとする。

👉 「いつもと明らかに違う」は重要なサインです。


原因は食物だけではない

アナフィラキシーの原因には、
食物だけでなく、薬、ハチなどの昆虫、ラテックス(天然ゴム)などもあります。

命に関わる重症例では、
薬やハチが原因となるケースも少なくありません。
一方で、子どもでは食物がきっかけになることが多いのも事実です。

👉 原因は一つとは限らないことを知っておきましょう。


食後の運動で起こることもある

アナフィラキシーの中には、
食べただけでも、運動しただけでも起こらず、
食後に運動することで初めて起こるタイプ
があります。

これを
**食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)**と呼びます。

原因として多いのは小麦甲殻類(特にエビ)で、
この2つで約9割を占めます。

👉 「給食後の体育」「部活前のおやつ」は要注意です。


アナフィラキシーの治療 ― 最も大切なこと

アナフィラキシーは時間との勝負です。
治療で最も重要なのは、
アドレナリン(エピネフリン)の筋肉注射です。

自己注射薬として
**エピペン®**が処方されることがあります。

ぐったりしている、
息が苦しい、
意識がもうろうとしている、
強い腹痛や嘔吐を繰り返す、
といった場合は使用をためらいません。

👉 迷ったら使う、それが正解です。


親御さんに一番伝えたいこと

アナフィラキシー対応で最も危険なのは、
「もう少し様子を見よう」と判断が遅れることです。

救急車を呼んでいい、
エピペンを使っていい、
結果的に軽く終わってもいい。

👉 子どもを守る行動に、やりすぎはありません。


まとめ

アナフィラキシーは命に関わる全身のアレルギー反応です。
皮膚症状がなくても起こり、
食後の運動が引き金になることもあります。
治療の要はアドレナリンで、
迷ったらすぐ行動することが大切です。

👉 正しい知識が、最大の安全対策です。