そばアレルギーとは?― 「そば」と「小麦」の違いから小児科専門医が解説

そばアレルギーとは?― 「そば」と「小麦」の違いから小児科専門医が解説

はじめに

これまでこのブログでは、
卵・牛乳・小麦・ナッツなど、さまざまな食物アレルギーについて解説してきました。

今回はその中でも、アナフィラキシーの原因として名前が挙がりやすい「そばアレルギー」**いて取り上げます。

そばアレルギーを理解するうえで欠かせないのが、
「そば」と「小麦」をセットで考える視点です。

なぜこの視点が大切なのか、
日常生活でどこに注意すればよいのかを、親御さん向けに順を追って解説します。

👉 知識があるだけで、対応はぐっと落ち着きます。


「そば」という言葉がややこしい理由

まず知っておいてほしいのは、
「そば」という言葉は、とても広い意味で使われているということです。

たとえば、

  • 中華そば
  • 沖縄そば
  • 焼きそば

これらは名前に「そば」とついていますが、原料は小麦です。
いわゆる「日本そば」も、実は多くの場合、そば粉と小麦粉を混ぜて作られています

そば粉の割合によって

  • 十割そば(そば粉100%)
  • 二八そば(そば粉8割+小麦2割)

と表現されますが、一般的なそば麺には「つなぎ」として小麦が使われています。

👉 「そばを食べた=そば粉100%」とは限りません。


そばアレルギーと小麦アレルギーは別の病気

ここがとても重要なポイントです。

そばアレルギーと小麦アレルギーは、アレルギーとしては別のものです。
そばと小麦のたんぱく質に、交差抗原性はありません。

そのため、

  • そばアレルギーがあっても、小麦アレルギーがなければ小麦製品を食べられることがある
  • 小麦アレルギーがある場合、そばを食べること自体が難しくなる

という状況が生まれます。

実生活では「そばに小麦が含まれている」ため、
食事管理では両者をセットで考える必要があるのです。

👉 診断では「どちらのアレルギーか」を正確に見極めます。


そばアレルギーは本当に危険なの?

そばアレルギーは「重症」「危険」というイメージを持たれがちですが、
実際の頻度は小麦アレルギーの約1/6〜1/8程度とされています。

また、

  • そばアレルギー
  • 小麦アレルギー

それぞれの患者さんのうち、アナフィラキシーショックを起こす割合は、どちらも5〜6人に1人程度と報告されています。


👉「そばだから特別に危険」というわけではありません。


「完全除去しかない?」と感じたときに

そばアレルギーと聞くと、
「もう一生食べられないのでは?」
と感じる親御さんも少なくありません。

しかし、小麦アレルギーと同様に、
食物経口負荷試験によって、少量なら安全に食べられる条件が見つかる可能性もあります。

条件が確認できれば、
その範囲内で日常的に摂取する、という選択肢が出てくる場合もあります。

👉 判断は必ず専門医と一緒に行いましょう。


検査結果だけで決めないでください

そばアレルギーの診断では、

  • 血液検査(そば特異的IgE)
  • 皮膚プリックテスト

などが使われます。

ただし、
血液検査が陽性でも、実際には食べられる人がいることが知られています。
検査の感度・特異度は、血液検査よりも皮膚プリックテストの方が高いとされます。

最も大切なのは、
**「実際に食べたときに症状が出たかどうか」**です。

👉 数値だけで判断しないことが重要です。


まとめ

  • 「そば」という言葉は非常にあいまい
  • そばアレルギーと小麦アレルギーは別
  • 頻度や重症度はイメージほど高くない
  • 完全除去一択ではない場合もある
  • 診断は症状の事実が最重要

正しい知識があれば、
必要以上に怖がらず、落ち着いて対応できます。

👉 不安なときは、必ず主治医に相談してください。